【ニューヨーク=池松洋】英ビール大手のSABミラーと米モルソン・クアーズは9日、合弁会社
「ミラークアーズ」を設立し、米国内のビール事業を統合すると発表した。
統合後の売上高は66億ドル(約7700億円)、米国内の合計シェア(占有率)は約29%となり、
「バドワイザー」ブランドで知られるトップのアンハイザー・ブッシュ(シェア約48%)に続く
米業界2位の地位を固める。
アメリカでは、ビール市場は停滞し、価格の引き下げ競争が厳しくなっている。一方で、
需要が増えている新興市場への取り組みには資金が必要なため、アメリカ市場で合理化を急ぎ、
海外展開に力を入れる。
アンハイザーを巡っても、米国内外の企業との合併の観測が今年初頭から出ている。
ミラークアーズの誕生は「業界に大きな影響を与える」(モルソン首脳)と見られ、世界的な
業界再編がさらに加速する可能性がある。
2006年のミラーの米市場でのシェアは17・8%、モルソンは10・9%と、トップのアンハイザーに
大きく差をつけられている。ビール業界は規模が大きいほど効率が上がる「規模の利益」が働くため、
両社の利益率もアンハイザーに大きく劣っていた。
両社は新会社を設立して米事業を統合する。ミラーの「ミラー」や、モルソンの「クアーズ」などの
代表的なブランドを引き継ぐ一方、物流・販売部門の統廃合を進め、年5億ドル(約580億円)の
コスト削減効果を見込む。
米国では、ビール人気が衰え、濃厚な味のワインやカクテルの人気が高まっている。2000年以降に
米市場でのワインの出荷量は10%近く伸びたが、ビールの出荷量の伸び率は年1%台にとどまって
おり、市場は成熟しつつある。
一方で、最大手のアンハイザーは需要を喚起するために、製品の値下げ攻勢を強めている。
体力に劣る2位以下のメーカーの経営環境は急速に悪化していた。
▽News Source YOMIURI ONLINE(2007年10月10日22時4分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20071010ib23.htm ▽SABMiller
http://www.sabmiller.com/ ▽Coors
http://www.coors.com/