ハラレ――アフリカ南部のジンバブエ下院は26日夜、
国内で活動する白人系企業の株式の過半数を地元住民に付与する法案を可決した。
下院を制する与党ジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線(ZANU─PF)の支持が大きく、
同じく最大勢力となっている上院でも通過するのは確実。
同法案の立案者であるムガベ大統領が署名して成立する。
法的整備などを経て、数カ月後に発効する可能性がある。
株の51%を黒人住民に譲渡する内容で、野党は法案が人種差別、憲法違反に相当するとして
審議をボイコットした。
今回の法案はムガベ政権が2000年に打ち出した白人系が所有する約5000個所の農場を没収、
黒人に引き渡した命令をほうふつさせる。
これ以降、同国の農業は生産力が落ちるなどして後退、今日の経済苦境の一因となった。
株式譲渡法案が成立すれば、外資系企業の撤収、投資の縮小につながるのは必至で、
それでもなくても苦境にある同国経済が一層混乱する恐れが強い。
1980年の独立以来、長期政権を敷くムガベ大統領は来年の大統領選にも出馬の構えで、
今回の法案は「黒人住民」の受けを狙った色彩も強い。
政府は法案提出について、地元住民の企業参加への道を拡大するものと説明している。
この株式比率に従わない場合、企業の営業許可を抹消するともしている。
ムガベ大統領は人権弾圧のほか、野党勢力を強権的に封じ込めるなどして欧米社会の反発を招き、
経済制裁にも直面している。
1980年の独立以来、最悪の経済危機にあるとされ、ムガベ政権の早期の失脚を予想する見方も広がっている。
ジンバブエ政府は最近、今年7月の物価上昇率が年率換算で7634.8%に達したと発表。
同国のインフレ率は世界最高の数字が続いているが、経済専門家やムガベ大統領批判勢力は
実際の数字はより高いとも指摘している。
国際通貨基金(IMF)は、同国のインフレ率は今年末までに「10万%増」に到達する恐れがあるとも予測している。
政府はこの中で、インフレ対策として生活必需品の値上げを禁止する政策を6月に打ち出したが、
これが逆に売り惜しみなどを招き、経済混乱に拍車を掛けている。
ソース
http://www.cnn.co.jp/business/CNN200709280032.html