NECはこのたび、次世代のブロードバンド無線アクセス方式として注目されている
WiMAXシステムの通信可能エリアや通信特性を視覚的に解析表示するシミュレータ
「RADIOSCAPE-WiMAX」を開発しました。
近年、携帯電話やPCカードによる大容量移動体データ通信や、
デジタルデバイド対策のための広域・固定無線アクセスの実現に向け、
低コストに通信サービスを提供することのできる新無線方式としてWiMAXシステムが注目されています。
WiMAXシステムでは、MIMO(Multiple-Input Multiple-Output(注2))やサブチャネルという
新しい空間・周波数利用の概念の導入により、限られた周波数帯域で大きな通信容量と、
基地局間での周波数再利用の実現が期待されています。
しかし、従来のエリア設計ツールではこれらの技術導入による効果を高精度かつ定量的に見積もることができず、
コスト効率の高いエリア設計を行うことができないという課題がありました。
このたび開発した「RADIOSCAPE-WiMAX」は、無線LANシステムや第3世代携帯電話システム向けに
NECがこれまでに開発してきた電波伝搬シミュレータ「RADIOSCAPE(R)」を高機能化し、
WiMAXシステムに対応させたものです。本シミュレータの特長は以下の通りです。
(1) 世界に先駆けた階層化MIMO特性推定技術の開発による計算高速化
(中略)階層化MIMO特性推定技術を世界に先駆けて開発しました。
これにより、MIMO技術による伝送容量の増加効果をエリア全域にわたり
高速・高精度に推定できるようになりました。
たとえば東京23区内全域に1km間隔で基地局を配置したと仮定すると、
従来手法では計算処理に52日かかるところ、本手法では1.3日で実現することができ、
MIMO技術を採用するWiMAXシステムのエリア設計を効率的に行うことが可能になります。
(2) サブチャネル間干渉推定技術による精度の高い周波数配置設計の実現
(中略)今回、サブチャネル間の干渉特性をモデル化しシミュレータに実装することにより、
精度の高い干渉推定に基づく周波数配置設計を可能とし、限られた周波数帯域を有効に活用した
エリア設計を行うことができるようになりました。
また、「RADIOSCAPE(R)」が従来有していた高い推定精度を維持しつつ、従来比40倍の高速な
通信可能エリアの推定が可能であることを、屋内外電波伝搬実験によって確認しました。
本シミュレータの開発により、WiMAXシステムの設備計画やシステム構築において、
導入環境や設備に応じたシステム性能を定量的に評価することが可能となります。
その結果、利用者数やトラヒックに応じた段階的な設備計画を策定することができます。(以下略)
ソース
http://www.japancorp.net/japan/Article.Asp?Art_ID=39756