食品メーカーが、即席ラーメンやカレールーなど身近な食品の値上げを相次いで発表している。
地球温暖化で小麦などの生産が減少する一方、原油高を受けて穀物由来のバイオ燃料を使う動きが
世界的に広がり、農産物価格が高騰しているためだ。10月にも食用油や冷凍食品の値上げが予定
されている。一方で、競争が激しい小売業界は消費者離れを懸念して店頭価格の引き上げに慎重で、
値上げをめぐる食品メーカーと小売業者のせめぎ合いが続いている。【工藤昭久】
◆穀物争奪戦
食品値上げの理由は複合的だ。原油高で需要が高まっているバイオエタノールの生産に使われる
トウモロコシなどの穀物価格が高騰。トウモロコシを増産するために作付面積が減った大豆や、
主要産地の豪州などが干ばつの被害を受けている小麦などの相場も世界的に高騰している。
食品業界は「食品原料とエネルギー原料の間で穀物争奪戦になっている」(J−オイルミルズの
佐々木晨二=しんじ=社長)と危機感を強める。
大豆やトウモロコシの高騰は、これらをえさとする鶏肉や豚肉などの価格上昇につながる。
さらに、急成長する中国の需要拡大も加わって、ハムなどの加工食品や冷凍食品の値上げを
誘発した。
◆即席ラーメンにも波及
食品値上げの波を引き起こしている大きな要因の一つが、小麦粉の値上げ。今年に入って、
すでに1度値上げされており、日清食品やサンヨー食品は小麦粉を主原料とする即席ラーメンの
値上げを決めた。
さらに、輸入小麦の高騰で政府が製粉会社への小麦の売り渡し価格を10月から10%値上げする
ことを受けて、製粉最大手の日清製粉グループ本社は21日、パンやうどん、菓子に使われる
業務用小麦粉の出荷価格を11月初旬から値上げすると発表。製パン最大手の山崎製パンや
冷凍うどんを扱う加ト吉も「値上げ幅や時期などを検討している」と話しており、食卓への影響は
まだまだ広がりそうだ。
◆小売り大手は慎重
イオンやセブン&アイ・ホールディングスなどの小売り大手は食品値上げに慎重な姿勢で、
メーカーからの納入価格引き上げ要請に抵抗している。小売り各社は個人消費が伸び悩む中で
激しい価格競争を繰り広げており、値上げはできるだけ先送りしたいからだ。イオンは「消費者の
日常品の価格に対する目は厳しい」として、今夏に食料品など約100品目を年内値上げしない
「価格凍結」を宣言。メーカーの値上げ発表が相次ぐ中、割安感をアピールして顧客を取り込もうと
いう戦略だ。
メーカー側も納入価格引き上げを強行し、巨大な販路をもつ大手スーパーに取引を中断されては
死活問題。「販売奨励金を積み増し、値上げ分を実質的に補てんすることもありうる」(大手食品幹部)
という弱音も漏れる。
>>2に続く
▽News Source MSN-Mainichi INTERACTIVE 毎日新聞 2007年9月23日 8時31分
http://www.mainichi-msn.co.jp/keizai/kigyou/news/20070923k0000m020147000c.html http://www.mainichi-msn.co.jp/keizai/kigyou/news/images/20070923k0000m020148000p_size6.jpg ▽関連
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