中部電力は、碧南火力発電所(愛知県碧南市)から排出される石炭灰を有効活用した
微粉末の人工ゼオライト商品「シーキュラス」の用途拡大を進めている。シーキュラスを
配合した新商品として、ヒ素を吸着する水質浄化剤と、厨房(ちゅうぼう)の排気用脱臭
フィルターを開発し、シーキュラス関連商品を延べ約30種類とした。資源リサイクルに
少しでも貢献するためだが、市場開拓を進めて事業を黒字化することが課題になっている。
碧南火力は出力合計が410万キロワットで、石炭を燃料とする火力発電としては
世界でも有数規模。それだけに、石炭を燃やした後に残る石炭灰は、年間94万トン
(2006年度実績)も排出される。石炭灰の80%はセメント原料、14%は建材に
使っているが、それでも6万トンが残る。現状では埋め立て処分をせざるをえないため、
中電ではシーキュラスの需要を高めて灰の活用度を高めたい考えだ。
シーキュラスは石炭灰を化学処理して作られ、物質を吸着する性質が特徴。碧南火力の
敷地内に、年間生産能力3000トンの製造工場を約8億円かけて造り、04年10月から
稼働させている。年間の製造・販売量は、04年度は100トンだったが、今年度は
500トンに増える見込みだ。ただ、「事業を黒字に持って行くには、年間1000トン
以上売れないといけない」(担当者)といい、09年度の達成を目標にしている。
販売量を伸ばす切り札が関連商品のラインアップの充実だ。
今夏に商品化した、ヒ素を吸着する水質浄化剤は、鉄鋼関連資材商社のアムロン
(香川県高松市)と共同開発した。工場や浄水場の水の濾過(ろか)槽などに入れて
使える。ヒ素を95%以上除去する能力を持つ。
また、厨房排気用の脱臭フィルターは、脱臭装置製造の神鋼アクテック(大阪市)との
共同開発で、ハチの巣状のセラミック製品だ。レストランや学校、病院などの厨房の
排気ダクト内に組み込めば、臭いを強力に吸着する。
これまでにも、土壌改良用資材や重金属除去の水質浄化剤、空気清浄器用の脱臭・ガス
吸着剤、こけの生えやすいコンクリートブロックなど、シーキュラスを使った商品を
出してきた。
担当者は「商品化は進み、事業として“タネ”はまけた。今後は商品の浸透に力を
入れたい」としている。
ソースは
http://chubu.yomiuri.co.jp/news_k/ckei070912_1.htm “中部電力のシーキュウラス販売量の推移”というグラフは
http://chubu.yomiuri.co.jp/news_k/img/ckei070912_1.jpg 依頼を受けてたてました。