さまざまな企業の新商品や限定グッズの試供品をズラリと並べた“サンプリング店舗”が、
東京都内に相次いでオープンする。会員登録した顧客が来店し、実際に商品を試して評価するという新形態。
大量の試供品を街頭でバラまく従来手法とは逆の発想だ。精度の高いマーケット調査や効果の高い口コミによる
販売促進が期待できる場として注目を集めている。
≪大阪、名古屋も≫
25日に原宿の神宮前交差点近くに開店するのは、“店内まるごと商品サンプル”をうたう「サンプルラボ」。
化粧品や飲食品、通販グッズや最新家電まで、さまざまな新商品を手に取って試せる。有料会員制で登録費300円
、年間1000円かかるが、1日の制限個数内であれば持ち帰れる。
会員登録や入店管理、持ち帰り商品の照会やアンケート回収は、主に携帯電話を使う。
アンケート回答の頻度に応じ、持ち帰れる商品数が増えていく仕組みだ。商品の販売は一切行わない。
総面積約100坪(1坪は3・3平方メートル)という広いスペースに、近未来風のおしゃれな内装を施した。
開店時には、化粧品15〜20種類、食品約30種類などが並べられる予定。21日のプレオープンイベントは、
カゴいっぱいにサンプル商品をつめ込んだ女性たちでにぎわった。
チラシ配布などの販促支援を手がけるメル・ポスネット(東京都台東区)が運営。河野隆弘社長は、
「サンプルの量と質を維持するためには、大手企業の出店が不可欠」と、最新のファッション発信拠点である
原宿に店舗を構えた理由を説明する。目標会員数は年内に2万〜3万人で、大阪や名古屋などへの出店も検討している。
≪沖縄から進出≫
沖縄県那覇市で出版などを手がけるチャイルドフッドが10月初旬、渋谷に開くサンプリング店舗が
「サンプルボックス」。約33坪の店舗に、地方企業とのネットワークを生かし、全国各地で人気の食品や
化粧品なども並べる。
1年間有効な磁気カードの会員証を200円で発行。アンケートの回収をウェブサイトで行うほか、
高齢者にも配慮して紙への記入や郵送でも回答できる。
2004年から05年にかけて那覇と福岡に実験店を設置し、合わせて約1万人の会員を獲得した。
満を持しての東京進出となる。
同社の中元英機社長は、「50代の女性が原稿用紙2枚にわたり商品への希望を書き、実際に商品の改良に
つながったこともあった。サンプリングも一人一人丁寧に対応するのが基本」という。
微妙な顧客心理を現場で引き出して、販促データとして企業に還元するという「コンサルティング機能を高める」
のが目的。渋谷店だけで初年度20万人以上の会員を狙う。
年内に丸の内、来春には秋葉原にも出店。08年中に首都圏で6〜7坪のサテライト店をつくる計画だ。
中元社長は「一気に多店舗展開する戦略」と意気込む。
>>2 以降に続く
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200707220002a.nwc >>1 より
≪若い女性2万超≫
今年3月中旬にオープンした「デアトレサロン表参道」は、女優やモデルなど美意識の高い女性層を取り込み、
会員数は2万5000人を超え、なお急増中だ。
運営するPR会社のグラムスリー(東京都港区)は、発売前の化粧品や健康食品などをインターネットで紹介する
「未来コンビニ」を6月に立ち上げたが、店舗でこれら新商品の“お試し”や試食をすることができる。
「美しさを追い求める女性に限定して会員を組織化した」(グラムスリーの坂本明社長)のが強みだ。
化粧品の口コミサイト「アットコスメ」の実際の店舗として新宿駅ビルに3月オープンした「アットコスメストア」
の会員数は1万人を突破。化粧品の新作をいろいろ試したい若い女性の人気スポットになっている。
また、自販機のように無人でサンプルを配布し、その場での簡単な入力操作で受け取った人の属性データを
集められるサンプリングマシンも登場した。
大画面の液晶ディスプレーが搭載されCMも放映できる。「おくばり君」と名付け、富士電機リテイルシステムズと
凸版印刷が組み、コンビニやカラオケ店などへの設置を働きかけていく。
こうした“サンプル拠点”が増えれば、「買う前にまずはお試し」という購買行動が定着しそう。企業にとっても、
商品特性やターゲットとする購買層により、最適なサンプリング施設を使い分ける時代になりそうだ。(小坂真里栄)
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200707220002a.nwc