▽中国海運最大手COSCO 輸送力強化へ2400億円調達
■欧米向け物流量拡大で
中国海運最大手の中国遠洋運輸集団(COSCOホールディングス)が事業拡大に向けて
150億元(約2400億円)規模の資金調達を実施したことが28日までに明らかになった。
世界の生産拠点として輸出拡大が続く中、中国政府も海上物流のインフラ整備を強化
しており、今後も物流量が拡大すると判断。先行投資を急ぐ。
≪買収も視野≫
ブルームバーグによると、コンテナ船輸送でアジア大手のCOSCOは今月18日に17億
8000万株を1株当たり8・48元で発行。150億元の発行規模は中国で2007年に入り
同時点で4番目の水準だ。株式の発行内訳は戦略投資家に5億3500万株、機関投資家には
3億5690万株で、個人投資家が最も多い8億9190万株となっている。株式市場に
大量のタンス預金が注ぎ込む格好だ。事業拡大を目指すCOSCOは、調達した資金を購入
予定のコンテナ船12隻や物流会社への出資や買収などに充てる計画だ。
COSCOが船舶の購入資金を調達する背景には、米ウォルマート・ストアーズなどの小売業者が
アジアからの調達を拡大していることがある。生産コストの低いアジア拠点で製造されたテレビや
衣類、玩具などの販売が欧米で拡大し、その物流が伸びているためだ。
中国の輸出は、外資による生産拡大と国内企業の成長を受け急増し、2000年の2492億ドルが
06年には約3・9倍の9690億ドルに達した。上海港の06年貨物取扱量も前年比21・2%増の
5億3700万トンに急拡大し、初の5億トン台となった。上海港は05年から世界1位の取扱量を
誇っている。これまで港湾整備を進めてきた中国政府は06年からの第11次五カ年計画で海上輸送の
強化を打ち出し、ハブ機能を備えた国際的な物流拠点の構築を進めている。
また、中国紙の国際商報などによると同国の小売り売上高は07年に前年比13・9%増の8兆7000
億元(約135兆円)に達する見通しで、商務省は国内の消費拡大を受けて「全体的な物流規模は
大幅に拡大するだろう」と中国の物流関連ビジネスがさらに拡大すると指摘する。
国内の陸上物流では独や仏、香港など7社が共同出資し鉄道を活用したコンテナ物流の合弁会社
「中鉄連合国際コンテナ」を設立。外資が鉄道物流に初めて本格参入した。10年までに総額120億元を
投じ北京や上海など主要18都市にコンテナの大型物流センターを構築し配送事業を展開する計画。
中国に進出する日本の小売業者からは「物流システムの未整備が商売のネックになっている」との
指摘もあり、物流規模の拡大とともに、外資の経営ノウハウを導入した効率の高い物流システムの
構築が今後の課題となりそうだ。
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070630-00000010-fsi-bus_all