医療用検査機材を製造するサン・エコー(埼玉県美里町、中元一郎社長)は、
船舶の使用済みコンテナを活用したアワビ陸上養殖システムの販売を8月から始める。
海洋政策研究財団(東京・港)が無償で技術提供し、製造した。
専用の施設を建てる必要が無いため、設備投資が少なくて済むのが特徴だ。
アワビの加工業者など中小の水産企業の需要を見込む。
◇使用済み船舶用でシステム 海洋政策研から技術
システムは、20フィートコンテナに養殖用の水槽や水質を管理するためのろ過装置などが一体
になったもの。人工海水を循環させ、アワビを育てる。1台でアワビを年間2千個の養殖が可能だ。
価格は4百万円。水槽やポンプなど市販品を使い、コストを押さえた。
アワビは温度管理が難しく、高温になると死んでしまう。このため断熱性の高い船舶用のコンテナ
を使い温度を管理しやすくした。市販のエアコンを使えば、外気の温度に関わらず室温と水温を
18℃に保てる。これまでの実証実験によると一ヶ月の電気代は、1万7千円程度に押さえられたという。
水質を一定に保つために3段階の処理を施す仕組みになっている。
第1段階は、人工海水をアワビの養殖水槽から泡沫(ほうまつ)分離装置に移して、
アワビが食べ残した餌や排泄物を取り除く。
次に生物ろ過装置に移し、バクテリアで残った不純物を処理する。最後は硝酸を養分にするワカメ
などを使った海藻処理槽で硝酸を除去する。
アワビは海水域でも養殖しているが、設備や管理にコストがかかるほか気象条件に左右されやすい。
コンテナ内ではこうした心配がなく安定した生産が可能になる。
技術提供した海洋政策研究財団は、稚貝の手配や管理法方の助言など養殖システムを購入した
企業を側面支援する。
サン・エコーは、アワビ養殖システムを本業に次ぐ第二の収益源とする考え。同社は塩ビパイプ
の成型などを手掛ける武蔵化成の子会社。
ソース
日本経済新聞 2007年6月28日朝刊 埼玉・首都圏経済面より。
参考記事:
つくばでアワビ養殖、海洋政策研究財団がシステム
ttp://www.nikkei.co.jp/news/retto/20070205c3b0503w05.html コンテナ陸上養殖システム』の実用化について
(船用冷凍コンテナを利用した閉鎖式アワビ陸上養殖システムの紹介)
ttp://www.sof.or.jp/topics/2007/070220_02.html 船用冷凍コンテナを利用したアワビの陸上養殖システム-海洋政策研究財団のブログ
ttps://blog.canpan.info/oprf/archive/127