KDDIは、総務省が発表した「広帯域移動無線アクセスシステムの免許方針案」で、2.5GHz
帯の割り当てでは既存事業者を基本的に除外、新規事業者を優先する方針が出たことに
対して、「単独で免許申請できる方向で進める」(代表取締役社長兼会長・小野寺正氏)とし、
あくまで同社が独自でこの周波数帯での事業を展開することを目指す。13日に開催した
社長会見で小野寺社長が意向を表明した。
新規事業者優先の方針が覆ることはない、との見方が業界内にはあるが、KDDIは「単独
でできるという一縷の望みはある。通らなかった場合にどう対処するか検討はしているが、
具体的なことはいまの時点ではいえない」(同)としている。今回の同省方針案では、同社
のほか、NTTドコモなどNTTグループ、ソフトバンク、イー・アクセスなどは割り当ての対象
から外されることになるが、これらの事業者も1/3以下の出資による事業での参加は可能
であるとされる。しかし、KDDIは当初から1/3以下出資の方式を選択する考えはないことを
強調した。
仮に、1/3以下出資での事業体で対応することになったとしても、「当社が全体をまとめて
いくかたちにしたい。主導権をとって運営できる形式を採りたい」と小野寺社長は話し、
「1/3以下では議決権はないが、当社には技術、開発力があるので、その出資比率でも
主導権は取れる。心配はしていない」との見解だ。
同省の方針案の通りに進んだ場合、同社のかつての子会社であるウィルコムによる次世代
PHSは、事業認可される有力候補とみられている。同社はウィルコムに現在も10%出資して
いるが、今後の協力関係強化については否定、「10%の出資はこちらから望んだことでは
なく、(ウィルコム(当時DDIポケット)を京セラとともに買収した)米カーライル・グループ、
ウィルコムの経営陣の要請により、引き受けている。経営には関与していない」(同)状況で、
「ウィルコムが株式の新規上場をすれば、同社株売却もありうる」(同)としている。
一方、「広帯域移動無線アクセスシステム」で導入することが有力視される「モバイル
WiMAX(IEEE 802.16e-2005)」は、第3世代携帯電話(3G)と重複する面があるのではないか
との声に対しては、「3Gとのすみわけは、携帯電話と現行のWi-Fi(無線LAN)の違いと同様に
思ってもらえばいいのでは。いまでは、Wi-Fiはノートパソコンに組み込まれていることの
方が多くなっている。WiMAXも同じようなことになるのではないか。(搭載される)機器がノート
パソコンだけになるのか、あるいはもっと幅広い端末になるかはわからないが」(同)とみている。
総務省が今回の帯域割り当てで新規事業者を優先的に扱うことについて、小野寺社長は
「競争促進の観点については賛成だ。もともと我々も新規事業として参入してきた。しかし
問題なのは、安定的な運用ができるかどうかだ。一旦参入しておきながら、すぐに退出して
しまうようでは、顧客に迷惑がかかる。事業者には安定的なサービスを継続する責務がある」
と指摘した。
(以下略。全文はリンク先へ。)
http://journal.mycom.co.jp/news/2007/06/13/052/index.html