機械の動作を制御する「組み込みソフトウエア」を使った製品の中部5県
(東海3県と富山、石川県)の出荷額シェア(市場占有率)は、
2004年に全国の25.8%を占めていることが、
中部経済産業局が8日発表した実態調査結果でわかった。
中部地方を代表する産業の自動車は、近年急速に電子制御化が進み、
それに伴って組み込みソフトの需要が高まっている。
04年の中部5県の製造業全体の製造品出荷額シェアは19.8%、
05年の中部5県の人口割合は全国の10.6%だった。
これらの数値に比べ、中部地方の組み込み製品のシェアは高く、
日本最大の組み込み産業の集積地といえる。
一方、組み込みソフトを含むソフトウエアの年間売上高シェア(05年)は、
中部5県で全国の3.9%と低く、関東が77.3%を占めた。
これは、トヨタグループなど大企業は自前で組み込みソフトを開発しているため、
この数値に含まれていないこともあるが、中部の中堅、中小製造業の多くは、
地域外のソフト会社から組み込みソフトを購入し、製品を作っている事情が反映しているとみられる。
このため、中部経産局は
「中部地方は独自製品を持ったソフト会社が少なく、需要の高さと供給の薄さのアンバランスが見られる」
と分析している。
今後の課題としては、ソフト開発に携わる人材不足の解消や、競争力のある技術を持った
ソフト会社の育成を挙げている。人材不足については、中部地方の関連企業21社を対象に
「理想の技術者数」を調査した結果、全体で現状の1.5倍の技術者を必要としていることがわかった。
また、ソフトの開発を請け負った企業のうち、ソフトの知的財産権が「すべて発注者に帰属している」
との回答が全体の65.6%にのぼり、特許を取得していない会社も多かった。
こうした発注元企業に依存した経営体質は、大企業との長期的な取引に結びついているという
メリットはあるが、逆に系列を超えた販路の拡大を阻害している面もありそうだ。
※組み込みソフトウエア
製品に内蔵されたコンピューターを動かすソフトウエアで、
最近はデジタル家電や携帯電話など多彩な製品に導入されている。
自動車の場合、カーナビゲーションや電動ウインドー、エンジンの燃料噴射装置をはじめ、
追突防止機能、自動駐車システムといった最新装備にも使われている。
ソース
http://chubu.yomiuri.co.jp/news_k/ckei070609_1.htm