大手ゼネコンが温室効果ガスの排出権取引ビジネスに本格参入し始めた。
高い省エネ技術や環境対策技術を生かして、途上国で温室効果ガスの削減事業を行い、
そこで得た削減量を排出権として、電力、鉄鋼会社などに転売する。
個人投資家が取引に参加できるよう、排出権を金融商品として売り出す計画もあり、
地球温暖化防止に向けたビジネスが加速しそうだ。
「事業開拓や事業の承認に必要な計画書作成のノウハウがある。情報収集ができ海外支店網もある。
排出権取引はゼネコンに最も適している」
清水建設排出権プロジェクト推進部の栗田弘幸部長は排出権ビジネスを有望視する理由を強調する。
清水建設はアルメニアとグルジアで、鹿島はマレーシアでそれぞれ、廃棄物処分場から出るメタン
ガスを回収して発電に利用するCDM(クリーン開発メカニズム)事業を手がけ、事業展開に必要な
国連の承認を得た。今年末から来年にかけて事業を開始する。大成建設も中国でのバイオ発電による
CDM事業を検討している。
各社ともエネルギー消費量が大きい電力やガス、鉄鋼会社などに転売するケースを想定しているが、
鹿島では工場建設を計画する発注主や電力、ガス会社などに対して、排出権をセットにした営業展開も
図る考えだ。
また、清水建設は、三菱UFJ信託銀行と共同で、中小企業や個人投資家でも取引に参加できるように、
取得した排出権を信託財産とみなして小口化し、新たな金融商品として売り出す計画。
日本企業ではすでに商社や電力会社が海外企業から排出権を購入したり、CDM事業などへの参画に
よって取得した排出権を他企業や国に転売するなどの事業を活発化させている。
削減目標については、日本ではいまのところ、大企業が業界ごとに自主的な目標を設けるにとどまって
いる。
しかし、欧州では企業に削減義務を課し、排出権取引所で株や債券のように取引されている。
ゼネコン各社は「日本でも今後、削減義務が課されたり、排出権取引が制度化される可能性がある。
その時に継続してやってきた強みを発揮できる」(鹿島環境本部CDM・JIグループ)として
積極的な事業開拓を行っていく方針だ。
◎ソース iZa(産経)
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/business/manufacturer/53859/