IBMとChartered Semiconductor Manufacturing、Samsung、Infineon Technologies、
Freescale Semiconductorの5社は、32nmプロセス技術と生産技術の開発を共同で
行なうことに合意したと発表した。
これまでIBMとChartered、Samsungは、「Common Platform」テクノロジとして、
1つのデザインの半導体を3社の各工場で顧客企業に供給可能な協力体制を展開してきた。
また、Infineonとは開発共同アライアンス・パートナーとして協力体制を築き、
Freescaleは2007年1月にテクノロジーアライアンスに参加することを発表していた。
今回の合意はこれらのアライアンスを基に、32nmバルクCMOSプロセス技術と
プロセス・デザイン・キットの開発を行なうもの。
また、これまで推進してきたCommon Platformを継続し、顧客企業に対してマルチソーシングによる
選択の柔軟性と、先端プロセス技術の早期供給を実現するという。
今回のアライアンスは2010年までの予定で、2009年第4四半期にCommon Platformにて
32nmプロセス技術の提供開始を目指す。
●日本企業へパートナー参加を呼びかけ
また5社は5月24日、都内で32nmプロセス共同開発に関する記者発表を行ない、
その取り組みを日本企業に向けてアピールした。
IBM システム&テクノロジグループ 半導体技術プラットフォーム担当バイスプレジデント
スティーブ・ロンゴリア氏はアライアンスの目的を以下のように説明。
半導体ビジネスは技術の複雑さや物理的限界への接近、研究コストの上昇などにより、
チャレンジが難しくなっている。またそれらを理由とした、Freescaleの身売りや
Philips Semiconductorの独立など半導体業界再編の動きもある。
そういった状況で、「経済面と技術面でのチャレンジの波を乗り越えるアライアンス」と今回の合意を位置付けた。
そして次の取り組みが、同社のアライアンスを32nmまで延長することで、
4社のIntegrated Device Manufacturerと1社のピュア・ファウンダリが協力し、アプリケーションにおける
テクノロジの定義と、生産の低コスト化/歩留まり向上を目指す。
具体的には、High-k/メタルゲートの採用や、歪みシリコン技術、Low-k絶縁膜の導入や、
第2世代の液浸リソグラフィの実用化などを挙げた。
また同氏は、Common Platformのテクノロジにおけるリーダシップや共通デザインによる
マルチソーシング、デザイン環境の充実などのメリットを強調し、日本の顧客企業に対して
アライアンスへの参加やプラットフォームの採用を呼びかけた。
CharteredのWalter F. Lange氏は、
「今回のアライアンスは市場にとっても、日本の企業にとっても時期を得たパートナーシップ。
プロセスが進むにつれクリアが難しくなっており、テクノロジとマテリアルがそろわないと難しいが、
我々のアライアンスはパーフェクト」とその優位性を強調した。
また、SamsungのByung-Hoon Ben Suh氏は、
「プロセスとデザインは切っても切れない関係で、柔軟にソーシングを行なうのも難しい。
しかしCommon Platformはファウンドリの顧客に3社から供給できるのがメリット。
このパートナー技術をさらに高め、日本のパートナーに参加してもらうことでより長く
強固なアライアンスにしていきたい」と抱負を述べた。
ソース
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2007/0524/ibm.htm