【JR】増えているキヨスクの休業 原因は人手不足 [07/04/09]

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2きのこ記者φ ★
(続き)
キヨスクの店員は、いずれも経験を積んだベテラン社員が担当していた。
100点を超える商品の値段をすべて覚え、おつりはほとんど暗算。
一度に多くの客をさばく熟練の技が必要だったためだ。
しかし、売り上げに対して人件費がかかるため、赤字の店舗が多かったのも事実だ。

そこで、JR東日本はキヨスク改革に乗り出した。04年からICカード「Suica(スイカ)」を
使えるレジを実験的に導入。数秒刻みで客をさばく「名人芸」の代わりに、代金を電子マネーで
受け取る仕組みを採り入れた。

昨年夏からは、40歳以上を対象に早期退職者を募り、店員約400人を含む社員約800人が
職場を去った。ベテラン店員の抜けた穴を、初任給18万〜18万7000円の契約社員、
時給770〜1250円のアルバイトで補うことを想定していた。年齢は45歳くらいまでが対象だ。

ところが、景気回復でほかの働き口が増えたことが計算を狂わせた。

応募者が予想を大きく下回った。あわてて駅などにポスターをはって宣伝を始めたが、反応はいま一つ。
2月からは、人手が足りずに開店できない店が相次ぐようになった。店員募集は続いているが、
休業店舗再開のめどはたっていない。

ここ数年、キヨスクは逆風にさらされてきた。ピークの96年には1392店あったが、今は813店。
不採算店舗を閉めたケースもあるが、大きいのは業態の変更だ。東日本キヨスクが発足した87年には
ほとんどなかった「ニューデイズ」などのコンビニ型店舗は353店に、土産店や弁当店などの専門店も
561店に増やした。

同社の売り上げに占めるキヨスクの割合は、88年の95%から、06年の見込みでは34%まで下がった。
背景には、利用者の好みの変化があるという。キヨスクのメーン商品だった、たばこ、新聞、雑誌は
いずれも売れ行きが落ちてきている。買う側にたくさんの品物から自分で手にとって選ぶ習慣が身につき、
品数が限定されるキヨスクを敬遠する客が増えた。

同社は、募集アルバイトの時給などの見直しはしないという。
このままキヨスクは消えてしまうのか。
担当者は「決してそんなつもりはありません。ホームなど小さなキヨスクしか置けない場所もあり、
実際に、朝、新聞が買えないなどの苦情もきていて需要は高い。一刻も早く再開したい」と話す。(記事終)