低賃金の改善を目指す米国の移民農場労働者らが、収穫したトマトの買い取り価格
引き上げを求め、米ファストフード業界に戦いを挑んでいる。不買運動を盾に、
すでに大手の一角を攻略。次の矛先をハンバーガーチェーン大手のマクドナルドに
向けた。同社が要求に屈すれば業界全体への波及は必至とあって、同業他社は
かたずをのんで成り行きを見守っている。
■超低賃金の改善求め
ロイター通信によると、マクドナルドにトマトの値上げ要求を突きつけているのは、
フロリダ州のトマト農場などで働くメキシコやグアテマラ移民ら2500人超で組織する団体「コーリション・オブ・イモカリー・ワーカーズ」(CIW)。
労働者らの報酬は、トマトの収穫量32ポンド(1ポンドは約0.45kg)当たり
45セントで、ビッグマックを1個買うのに、181ポンドもの収穫作業が必要になる
計算だ。CIWは農場からの買い取り価格を1ポンド当たり1セント(約1.16円)
上乗せするよう要求。これにより、労働者の収入は約7割増えるとしている。
■業界全体へ波及狙う
CIWはすでに、メキシコ風ファストフードチェーンのタコ・ベルと親会社の
ヤム・ブランズを相手に4年に及ぶ不買運動を展開した末に、2005年に値上げの
合意を勝ち取っている。タコ・ベルは年間約10万ドル(約1160万円)の支出増
になったという。
CIWはマクドナルドへの要求実現に向け、4月にイリノイ州の本社や旗艦店の前で
大規模なデモを行う予定だ。ロイター通信によると、CIWのジェラルド・レイズ氏
は「業界全体の値上げのきっかけになる」とマクドナルドとの戦いに意欲を見せて
いる。
マクドナルドは明確な方針を示していないが、農場経営者に、値上げした場合の
労働者の福祉改善計画を求めるなど、値上げを検討する態度をみせている。
ライバルのバーガーキングは値上げを拒否する姿勢という。
安易に値上げを受け入れれば、株主から責任を問われかねない。この一方、低賃金
での過酷な労働の上に立った企業経営には、欧州を中心に批判が強まっており、
米ファストフード業界も難しい判断を迫られそうだ。
ソースは
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/america/43940/