先月27日の世界同時株安によって大勢の投資家が損失を被った中で、一握りの
幸運な勝者も生まれた。1998年に破綻(はたん)した米ヘッジファンド、
ロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)の創設者がそのひとりだった。
1日付の米紙ウォールストリート・ジャーナルが報じたもので、勝敗が瞬時に入れ
替わる市場のダイナミズムを象徴している。
株安で利益を得たのは、運用資産26億ドルの「JWMパートナーズ」を経営する
投資家ジョン・メリウェザー氏(59)。円と米国債を大量に買って売り抜ける
「強気の賭け」が的中したという。
外国為替市場では、低金利通貨の円を売って新興国の高金利の資産で運用する
「円キャリー取引」で円安が続いていたが、メリウェザー氏は、27日の
世界的な株価急落の余波で、キャリー取引が逆転し円高になると読んだ。
実際に円相場は1ドル=117円台まで円高ドル安に一気に振れた。
また、市場の混乱で相対的にリスクが低い資産に流れる「質への逃避」が起き、
米国債も上昇。メリウェザー氏のファンドは2月を好収益で終え、「勝ち組」に。
半面、株式取引に集中したファンドは窮地に陥り、「負け組」となった。
LTCMは98年、ロシア債券の暴落で巨額損失を被り、世界的な金融市場の混乱の
引き金となったことで知られる。
ニュースソース
http://www.sankei.co.jp/kokusai/usa/070302/usa070302007.htm