キヤノン SEDは「重大判断」間近か?
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20070402/122216/ 2月から3月にかけて、2度の自社株買いを実施したキヤノン。取得した自社株式は合計で約3000万株で、2000億円を投じた。
「1兆円を超える豊富な手元資金の使い道として評価できる」
キヤノンが初めて実施した自社株買いに対する市場関係者の評価はおおむね高い。
取得した株式を消却せず、今後のM&A(企業の合併・買収)などにも活用する方針であることがその要因の1つとなっている。
2007年12月期は連結売上高が前年同期比7.1%増となる4兆4500億円、純利益は同8.7%増の4950億円を見込んでおり、
デジタルカメラと複写機が牽引する好業績は、今期も続く見通し。
8期連続の最高益更新を見込む優良企業の成長余力は高いが、それでも市場は「次の一手」につながる新たな材料を待ち望んでいる。
今回の自社株買いを、そのための“オプション”と見る市場関係者が多いのはそのためだ。
3つの事業分野に興味示す
では、どのような事業領域がM&Aの対象になり得るのか。
興味深いのは、3月2日に開いた経営方針説明会で御手洗冨士夫会長が「次世代の事業ドメイン(領域)」を示したこと。
「医療」「知的ロボット」「安全」という3分野である。
医療分野はX線デジタルカメラやDNA検査システムなど既に製品がいくつかあり、3分野の中では最も先行しているが、業界内にはオリンパス()のような強力なライバルが存在する。
ロボットは、キヤノンが進める工場の無人化・自動化に必須の要素だが、今は内部利用にとどまる。
そして製品の品質向上や作業者の安全確保につながる基盤技術を指すという安全に至っては、どの程度の技術を持っているのかは全く未知数だ。
「いずれも2010年頃までには商品化したい」
新規分野にもかかわらず、事業化時期を数年後に設定したことが、様々な憶測を呼んでいる。「事業化までの時間を買うために、関連技術を持つ会社を対象にしたM&Aがあるのでは」。
そうした見方が一部に広がった。少なくとも、キヤノンの今後を占ううえで、この3分野に絡んだ動きが注目すべきポイントに浮上したことは間違いない。