[東京 9日 ロイター] キヤノンの田中稔三専務経理本部長は9日、ロイターとの
インタビューに応じ、米国企業との特許紛争を抱える次世代薄型テレビ向けのSED
(表面電界ディスプレー)パネル事業をあくまで推進する考えを示した。田中専務は、
薄型パネルへの参入に関して「SEDでという方針は揺らいでいない。(品質で)優位性が
あるから参入するので、そこを崩すことなない」と強調。液晶やプラズマで薄型テレビ
事業を展開する可能性は「全くない」と語った。
<テレビ事業のM&A、可能性排除せず>
キヤノンは、SEDの基本技術を持つ米ナノ・プロプライアタリー社との間で、特許使用に
関する紛争が難航し、東芝と折半出資した「SED」(神奈川県平塚市)を1月末に全額出資
子会社に切り替えた。ナノ社が、キヤノンと交わした特許使用に関するライセンス契約は、
SED社には及ばないと主張して米国で提訴し、和解交渉も不調に終わったためだ。
1800億円を投じて、東芝姫路工場(兵庫県太子町)内で建設を計画していた量産工場も
白紙となった。
田中専務は、ナノ社との紛争解決について、「2─3カ月先にめどがついているという話
ではない」と述べ、難航していることを認めた。量産工場の選定なども未定だという。
キヤノンは今年の10月から12月までに、平塚事業所(神奈川県平塚市)の試作ラインで、
月間1000枚の少量生産を行う方針。生産したSEDパネルをキヤノンと東芝が折半し、両社が
双方のブランドでSEDテレビを発売する。テレビへの組み立ては東芝が行う。
田中専務は、SEDにこだわる理由について「当社の独自に発明した技術を生かして参入
できるから」と述べた。ただ、テレビにはパネル製造以外にも必要な技術やノウハウが多く、
技術提供を求めて東芝以外のテレビメーカーと組むことは「選択肢としてあるかもしれない」
としている。
1兆円強の豊富な手元資金を背景に、キヤノンはM&A(合併・買収)戦略でも注目されて
いる。田中専務は、赤字事業の買収や救済型のM&Aを行うことは、同社の原則から外れる
として否定したが、「テレビに絞った場合はわからない」とも述べ、テレビ分野でのM&Aの
可能性を排除しなかった。
<初の自社株買い実施も>
キヤノンは07年12月期で、過去最高となる業績予想を示しており、株主還元策も注目
されている。田中専務は、実施すれば初となる自社株買いについて、「決まっていないが、
以前よりはやれる可能性が少しは高まった」と述べた。また、設立70周年となる今年は、
記念配当実施への期待も高まっている。同専務は記念配について、「経営トップが決める
ことだが、見送ればがっかりされるだろう」と語り、実施に含みを持たせた。
▽News Source Response. 2007年02月09日16時56分JST
http://today.reuters.co.jp/news/articlenews.aspx?type=technologyNews&storyID=2007-02-09T165049Z_01_NOOTR_RTRJONC_0_JAPAN-246567-1.xml ▽関連
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http://news21.2ch.net/test/read.cgi/bizplus/1170079609/