環境整備機器メーカーの兼松エンジニアリング(高知市布師田、山口隆士社長)は
このほど、各種産業用プラントメーカーの三機工業(東京都)、高知高専と共同で、レストランや
ホテル、食品加工工場などの厨房(ちゅうぼう)廃水を分解処理する新システムを開発した。
廃液を微生物を使って分解し、下水として処理できるのが特長で、全国の産業廃棄物業者らを
ターゲットに本格販売を開始する。
業務用厨房の廃水は油脂分や野菜くずなどが含まれるため、下水に直接流さないよう法律で
特別な設備の設置が義務付けられている。同設備にたまった廃液は産廃業者らが収集し、
焼却処分するのが一般的。
兼松などが開発した新システムは、飲食店や工場などを回って廃水を集める吸引作業車と、
それを浄化する定置型プラントで構成。まず吸引車のタンクに集めた廃水に凝集剤を入れ、
約1割を固形化して除去。残りの液体をプラントに移し、メタン菌と好気性微生物の3段階のタンクを通す。
これにより、廃水に含まれる油脂分や有機物は、主に炭酸ガスとメタンに分解。
実験では最終的に98%以上が除去され、水はそのまま下水に流すことが可能なレベルにまで
浄化される。
この生分解の方法はビール工場の廃水処理でも使われており、三機工業と同高専建設
システム工学科の山崎慎一助教授のノウハウを生かして製造した。
販売価格は作業車が約3000万円、プラント(処理能力は1日10立方メートル)が約7000万円。
既に長崎県の産廃処理業者から受注があり、1基目を製造している。
同社は年間10基を目標に販売。今後は、分解過程で発生する炭酸ガスとメタンを
バイオガスとして再利用するシステムも開発する方針。
【写真説明】
メタン発酵(左のタンク内)などによって厨房廃水を無害化するシステムの実験プラント
(高知市布師田の兼松エンジニアリング)
ソース
http://www.kochinews.co.jp/0702/070206headline05.htm 画像
http://www.kochinews.co.jp/0702/parts/070206headline04.jpg