医療費の自己負担増に伴い治療費を支払わない患者が増えたことで、医療機関の
未収金が多額に上っている。
全病院の6割以上が加入する「四病院団体協議会」(加盟5570病院、四病協)が
加入病院を対象に02〜04年度の状況を調べたところ、累積の未収金は約853億円
に達した。
四病協は国民健康保険(国保)などの医療保険運営者に未収分を請求する方針だが、
厚生労働省は支払いを認めておらず、解決策は見当たらないのが現状だ。
四病協の調査によると、9割以上の病院が未収金を抱えており、とりわけ公的病院は
1病院当たり4424万円と多額にのぼる。
長期不況に加え、03年度にサラリーマンの医療費の窓口負担が2割から3割へアップ
したことなどが影響したとみられる。
同様の傾向は日本医師会が今月公表した調査結果からもうかがえ、同調査では51の
医師会立病院などの未収金(05年度末時点)は9億8900万円(1施設当たり
1939万円)だった。
近年診療報酬が相次いでカットされ、08年度からは高齢者の医療費窓口負担割合も増す。
四病協は未収金を放置すれば経営に重大な支障を及ぼすと考え、国保や企業の健保組合
など保険運営者に患者の不払い分を請求する方針を決めた。
努力しても回収できない未収金は、保険運営者が患者から直接徴収できるとした
健康保険法などの規定を援用した判断だ。
しかし、「規定は保険運営者に未収金の肩代わりをさせることまでは想定していない」
というのが厚労省の見解。
四病協は、保険運営者が支払いに応じない場合は訴訟に踏み切ることも検討しているが、
日医は「現時点で行動をともにする考えはない」としており、医療関係団体の足並みは
そろっていない。
ニュースソース
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/news/20070121k0000m040109000c.html