【麻倉怜士CES報告4】ソニーの有機ELテレビは驚愕的にきれい
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20070109/126182/ ソニーが自社ブースの入り口近くに展示している11型と27型の有機ELディスプレイに,
私の目はくぎ付けになった。これはもう今回のInternational CESナンバーワンだ。
これほど美しい映像は,これまで見たことがない。私は2000年のCEATEC JAPANで
13型を見て驚いた記憶があるが,今回はさらに感動した。
あまりに感動して私が「これなら,もう液晶は要らないのでは」とポロッと言ったところ,
それを聞いた記者がほかの記事にそれを書いてくれたが,確かにディスプレイの歴史の中で,
これほどきれいな映像を見たのはキヤノン・東芝のSED以外には,これしかない。実際,
展示会場にいた,液晶テレビの絵づくり技術者に話を聞いたが,
彼も今回の有機ELディスプレイの画面を見るのは初めてで「これほどのものとは思いませんでした。
まったく参りました……」と眼前の映像が信じられないような口調であった。
私のインプレッションを述べよう。ひとつが,映像の安定性である。映像が,ピタッと貼り付いたような,
揺るぎない安定感は,やはり自己発光ならではのメリットだろう。画素が非常に緻密(ちみつ)で,
一つひとつの画素が圧倒的なコントラストの再現をするので,映像に素晴らしい奥行き感と立体感がある。
数値ではコントラスト比は「100万対1以上」とあるが,その数値の意味が実感できるコントラスト感覚だ。
精細感が極めて高く,輪郭もしっかりとしている。これはいわゆる3次元ディスプレイではないのだが,
確かに奥行き方向にさえ表現力を持つ2次元ディスプレイなのである。
白ピークが伸びているのも素晴らしい。全白輝度が200cd/m2,白ピーク輝度が600cd/m2。
液晶パネルではこの2つは同一の値になるが,白ピークの官能性が自己発光デバイスの表現力だ。
車のボンネットが強烈な太陽光を反射しキラリと光ったり,オートバイが銀色に鋭く輝いたりといったシーンは,
コントラスト比の高さと相まって感動的な映像を形成しているのである。