新日本製鉄の06〜08年度の設備投資額(連結ベース)が初めて1兆円を超すことが28日、わかっ
た。国内外で想定を上回る鋼材需要が続いているためで、収益源の自動車用鋼板など高級鋼の生産
能力向上を急ぐ。05年度に最高益を更新した勢いで一気に収益基盤を強化する考えで、長くリストラ
に追われた鉄鋼業の「縮む経営」からの脱却を象徴づけそうだ。
新日鉄首脳は「想定以上に高級鋼の需要が伸びており、更なる利益成長の好機」とみて、従来計画
の8500億円に1500億円以上を上積みする考えを明らかにした。
追加分で設備の更新などを進め、世界販売が好調な自動車や電機などの国内製造業、経済成長中
の東アジア向けの高級鋼の供給力を引き上げる。高炉や鋼材加工ラインの改修など、数百億円程度の
投資項目を積み重ねる。外国メーカーとの資本提携強化など投融資も拡大し、日系メーカーの海外工
場への鋼材供給力も高める。
中国の粗鋼生産の急増などにより中低品質鋼材は余り気味だが、日本メーカーが強い高品質鋼材は
不足気味だ。
鉄鋼業界は、バブル経済後の長い不況期は設備投資を抑えてきた。一方で、リストラの進展や中国の
急成長などで05年度は大手4社が過去最高の経常利益を記録。このため、06〜08年度はJFEホー
ルディングスなど他社も設備投資を同3〜5割増やしている。
ソース
http://www.asahi.com/business/update/1129/066.html