政府は23日、年末にまとめる2007年度税制改正で、個人投資家のベンチャー企業への
投資を税制面から支援する時限措置「エンジェル税制」について、07年3月末で切れる
期限を延長する方針を固めた。
安倍政権の成長戦略に沿ったもので、政府は優遇措置を適用するベンチャー企業の
基準緩和など、新たな拡充策も検討している。
現行の「エンジェル税制」は、個人投資家が07年3月末までに取得したベンチャー企業の
株式に限り、その株式を3年以上保有すれば、売却時の譲渡益課税を2分の1に軽減
している。適用するベンチャー企業は〈1〉設立10年以内〈2〉研究開発などにかける費用が
売上高の3%以上――などの条件を満たす非上場の新興企業と定めている。
人口減少や高齢化が進む中で、政府は日本経済の活力を高めるにはベンチャー企業の
育成が不可欠と判断し、「エンジェル税制」を適用する株式取得の期限を07年3月末から
少なくとも2年程度延長する方針だ。
さらに政府は、制度の利用を促すため、経済界から要望の強い、投資対象企業の基準の
緩和も検討する。ベンチャー投資で損失が出た場合に、損失額を最大3年間繰り越して他の
株式譲渡益と相殺し、課税対象となる利益の金額を減らせる恒久措置についても、繰り
越せる期間の延長を検討する。政府は週明けに始まる自民党税制調査会などとの調整も
急ぐ方針だ。
エンジェル税制は97年度税制改正で創設され、2000年度改正で、時限的に株式譲渡
益課税の2分の1軽減が盛り込まれた。恒久措置には、対象企業への投資額を他の株式
譲渡益から控除できる制度もある。
97年度の創設以来、制度を使った投資額は05年度までの累計で約50億円に
とどまっており、ベンチャー投資が盛んな英国の年間約800億円に遠く及んでいないのが
現状だ。
(2006年11月24日3時1分 読売新聞)
ベンチャー支援の「エンジェル税制」、期限延長へ : 経済ニュース :
経済・マネー : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20061124i501.htm