クリーンな次世代エネルギーとして研究が進む燃料電池を搭載した電動車いすを、
障害のある人たちに使ってもらう実験が、今月末にも大阪府で始まる。
鉄管大手の「栗本鉄工所」(大阪市)が世界で初めて開発。
充電池で走る従来型の2倍を超す連続10時間走行が可能で、
障害者やお年寄りがもっと気軽に外出できるようになると期待されている。
新型車いすは、大阪府が運営する
大阪障害者職業能力開発校(堺市)の学生数人に校内での移動で使ってもらう。
発電や走行のデータを集め、安定性や耐久性を確認する。
来年度以降に自治体への貸し出しを始め、その後は一般利用者向けにレンタルも検討する。
燃料電池は、自動車や携帯電話などでの実用化をめざし、大手メーカーが開発を進めている。
栗本鉄工所は、高齢化で需要拡大が予想される電動車いすに着目し、03年から試作を重ねてきた。
実験機は、専用の小型ボンベ4本に水素を充填(じゅうてん)すれば、連続10時間の走行が可能。
普及している充電池型は3〜5時間なので、行動範囲は大幅に広がるという。
また、充電池は定期的な交換が必要だが、燃料電池はその必要がない。
実用化に向けた課題は、コストダウンと重い水素ボンベの改良だ。
実験機は1台数百万円で、普及させるには従来型の40万〜45万円に近づける必要がある。
ボンベも1本4.5キロと、障害者らが扱うにはまだ重すぎるという。
電動車いす安全普及協会(静岡県浜松市)によると、
05年度の電動車いすやカートの国内出荷台数は約2万7000台。
担当者は「50万円程度になれば、多くのユーザーにとって選択肢になる。
走行時間が伸び、移動の自由が広がることは大きな魅力だ」と指摘する。
■ソース
asahi.com[2006年09月16日17時16分]
http://www.asahi.com/life/update/0916/005.html