瀬戸内海の味「ちりめんじゃこ」の原材料のシラスが、異例の不漁に見舞われている。
広島県では6月中旬の解禁以降、漁獲量は例年の二割程度。山口、岡山県でも漁獲量が
低迷している。専門家は春先の天候不順による水温低下などの影響とみており、まとまった
量が確保できずに地物の販売を遅らせるスーパーもあるなど食卓に影響している。(河野揚)
午前4時すぎ、呉市倉橋町、宮原水産の船団四隻が沖の漁場に向かった。社長の宮原修治
さん(58)が指揮し魚群探知機でシラスの群れを追う。42年の経験をもってしても魚影はまばらだ。
「今年は極端に不漁。こんなのは初めて」と宮原さん。この日の水揚げは200キロ弱と例年の
2、3割。「全く捕れない日もあった。7月に入り少し増えてきたが、まだまだ」と表情を曇らせた。
広島県漁協連合会(広島市西区)によると、6月の入荷量は約21トンと過去5年間の平均の23・7%。
1キロ当たりの卸値は平均1457円で、まだ6・3%の上昇にとどまるが、品薄状態がさらに深刻化
すれば、先行きは不透明だ。
県東部で唯一、シラス漁をしている走島漁協(福山市)でも水揚げは低迷。ほとんど捕れない日も
あり、休漁日を増やしている。岡山県でも同様で、瀬戸内市の漁業者は漁の本格開始を例年より
約1カ月半遅らせた。日本海側の山口県漁協小畑支店(萩市)管内でも、漁獲量が例年の3―4割に
とどまる。
広島県立水産海洋技術センターによると、厳冬や春先の天候不順で、6月上旬の海水温(海底から
1メートル)は13・7度と過去30年の平均値より1・8度低かった。香川県水産試験場はカタクチ
イワシの産卵時期に着目。本来なら4月下旬だが、低水温のため半月程度遅れ、シラスの漁獲に
影響しているとみる。
例年なら7月上旬に新物を並べるスーパーのフレスタ(西区)は「まとまった量が確保できず、
約2週間遅れの入荷予定」という。鹿児島、高知県産や、昨年からの在庫で対応するスーパーも
あるなど、不漁の影響は店頭にも広がっている。
>>2に続く
▽News Source The Chugoku Shimbun ONLINE 中国新聞 2006年07月10日
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200607100031.html http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn20060710003101.jpg