年初のライブドアショックで痛手をこうむった新興市場に、復活の兆しが見えてきた。下落が
続いた株価も底堅い動きに転じるとともに、今年上半期(1-6月)の新規上場数が過去最多を記録
するなど、活気を取り戻してきた。また東証マザーズ市場分離論が飛び出すなど、新興市場は
再び注目を集めている。
マザーズなど主要新興3市場は、ライブドアショックで株価指数が急落。さらに5月の大型連休
明けからは、信用取引を行っている個人投資家が追い証(追加の保証金)懸念から保有株式を
投げ売りし、株価下落が加速した。3市場とも6月8日にそろって今年の最安値を記録した。
だが、その後は株価も緩やかながら上昇に転じてきた。日興コーディアル証券の西広市
エクイティ部部長は「売り圧力となっていた信用取引の買い越し残高が減り、追加証拠金懸念も
後退してきた。市場は底打ち感が出ている」とみている。
また、株価の急上昇が期待できることで人気を集める新規公開株の数が増えている。
今年上半期で大証ヘラクレスには22社が新規上場し、上半期としては過去最多を更新した。
ジャスダックも33社と高水準だった。
こうした中、証券業界からマザーズ分離論が飛び出し、市場関係者の注目を集めた。日本証券業
協会の越田弘志会長(当時)が個人的見解として主張したもので、東証がマザーズ市場を擁している
ことで、新興市場間の競争の激化や東証自身の信頼性向上の阻害につながるとして、マザーズを
分離し、東証は市場1部、2部の大型株に特化すべきだという内容だ。
これに対し、東証は「マザーズは新興市場として最も厳しい上場基準を守っており、マザーズ
分離で(市場間競争の)秩序が保たれるかは疑問だ」(西室泰三社長)と反論した。越田氏の後任の
安東俊夫・日証協新会長も分離論に同調しないとする立場を表明したことで、議論は収束の方向
となった。
>>2に続く
▽News Source Sankei Web 2006年07月07日00時04分
http://www.sankei.co.jp/news/060706/kei135.htm ただ、市場関係者からは、新興市場間で新規上場企業の誘致合戦の結果、上場審査が甘くなる
との指摘も出ている。
JPモルガン・アセット・マネジメントの太田忠氏は「新興市場の中には上場企業として疑問符が
付くような企業がいくつか見られ、(ライブドアショックと同様)最後は投資家が泣きを見るような
事態を再び招きかねない」と警告する。日興コーデの西部長も「今後は銘柄の吟味が厳しくなる」
とし、復活の兆しを見せてきた新興市場の回復の足取りも、まだ確かなものとはいえないようだ。
▽東京証券取引所・東証マザーズ
http://www.tse.or.jp/ http://www.tse.or.jp/mothers/
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