世界貿易機関(WTO)新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)で、農業・鉱工業分野の市場開放の
大枠(モダリティー)合意期限が月末に迫る中で非公式閣僚会合が今週からジュネーブで開かれる。
両分野の議長が22日、加盟国に示した合意案は、各国の隔たりの大きさが浮き彫りとなり、
合意の実現は容易でない。特に難航する農業分野では、米国が合意に向けて譲歩を示すか
どうかが焦点となる。
閣僚会合に先立ち、少数国間や2国間での会合も開催。日本からは中川昭一農水相や二階俊博
経済産業相が参加する。
ドーハ・ラウンドでは、農業分野で輸入側の日本、欧州連合(EU)と輸出国の米国が対立。
そこに、農業の市場開放を求めつつも鉱工業品の受け入れを拒むブラジルなど開発途上国
グループが加わり、「三すくみ」状態となっている。
しかし、ここにきてEUが、米国が求める農業の関税引き下げ幅拡大の容認を表明。ブラジルも
鉱工業品の関税引き下げで柔軟姿勢を見せ、歩み寄る方向に転換した。その一方で、EUと
ブラジルは、米国に過剰な国内補助金の削減を迫っている。
外堀を埋められた形の米国は、ブッシュ大統領が交渉成功に意欲を表明し、EUと極秘に会談
するなど水面下でも動き始めた。今週の一連の会合では、新たな譲歩を提案するとの期待が
高まっている。
日本は他国の動きをにらみつつ、コメなど保護の必要な「重要品目」の十分な数の確保や、
関税を一律に大幅カットする上限関税の導入反対など、従来の主張を続ける方針。ドーハ・
ラウンドは、年末の最終合意を目指している。
▽News Source Sankei Web(産経新聞【2006/06/25 朝刊から】)
http://www.sankei.co.jp/news/morning/25kei003.htm ▽関連
【経済政策】農業関税削減率、途上国提案を軸に45―75%の大幅削減方針・WTO議長文書 [06/06/11]
http://news18.2ch.net/test/read.cgi/bizplus/1149978701/