政府の知的財産戦略本部(本部長・小泉純一郎首相)は8日、
インターネットを利用したテレビ映像の配信で、歌手や俳優などの著作権をめぐる手続きを
テレビ放送並みに簡素化する「知的財産推進計画2006」を決めた。
7月にまとめる「骨太の方針」に盛り込み、2006年度中の著作権法改正を目指す。
ネットを通じたテレビ放送を実現し「通信と放送の融合」につなげる考えだ。
知的財産推進計画が対象としているのは、テレビにインターネットを接続して
番組を視聴できる「IPマルチキャスト放送」。
現行ルールでは、著作権を持つ俳優や歌手らの承諾を、放送する前に得る必要がある。
同計画は、地上波テレビや衛星放送、ケーブルテレビと同じように、
放送後に著作権料を払えば済むように制度を改正するよう求めた。
実現すれば、テレビ局が制作した人気番組を
IPマルチキャストで同時に放送したり、より簡単に再放送できるようになる。
同計画はこのほか、偽ブランド品や違法複製品の国内流入を防ぐため、
処罰対象を個人輸入に広げることを提言。日本企業による外国での特許出願を増やす政策や、
知的財産を活用した地域振興策を自治体に促すことも盛り込んだ。
【著作権とネット配信】テレビや有線放送で番組を放送する場合、
法律上の「著作権者」に当たる歌手、俳優に事前の許諾を得る必要はない。
現行の著作権法が「テレビや有線放送は公共性が高い」として、
出演者に事後的に料金を支払うだけで放送することを認めているためだ。
インターネット放送はこの対象にはなっていない。
知的財産戦略本部は、ネット技術を利用した「IPマルチキャスト放送」も
テレビなどと同じように扱うべきだと主張。
これに対し、テレビ業界や出演者側は、不正コピーの被害が増えるとして慎重な議論を求めている。
■ソース
ZAKZAK 2006/06/09
http://www.zakzak.co.jp/gei/2006_06/g2006060909.html