【ゲーム/ハード】「PS3」の半値以下でも消えない「Wii」の弱点と課題★2 [06/05/26]
1 :
明鏡止水φ ★:
2 :
明鏡止水φ ★:2006/05/29(月) 23:50:55 ID:???
■安さで有利なスタートは切れるが
しかし、ニュースとして考えたとき、任天堂はE3でほとんど何の重要情報も発表しなかった。
発売時期は今年10−12月という以外に情報はなく、価格はいくらなのか、最終的なスペックは
どういうものなのか、発売時に何タイトルでスタートするつもりなのかという、意味のある情報は
一切なかった。
過去のファミコンなどのタイトルをダウンロードして遊べるようになる「バーチャルコンソール」
というコンセプトをすでに打ち出しているが、一体その課金方法はどういう形式を取るのか、1本
当たりの価格はどれぐらいの設定になるのかといった情報もまったく欠落している。
任天堂としては、「プレイステーション3(PS3)」「Xbox360」の動向を見て、最終的な戦略を決定
しようという様子見だったといってもいい。結果、「PS3」が6万円台という価格帯で先に発表になり、
ここにきて任天堂も「2万5000円以下」という価格を打ち出すことで、安さをアピールできたことに
なる。
「Wii」の性能は、ゲームキューブを若干向上させた程度のものといわれており、もともと予想
価格は2万-3万円前後といわれていた。とはいえ、PS3の半値以下という価格は大きな要素であり、
日本市場でPS3の発売前に安い価格帯で投入すれば、ある程度有利なスタートを切れるのは間違いない。
本体と同時に発売するソフトのラインナップは発表されていないが、「マリオ」や「ゼルダ」など
任天堂ブランド定番の完成度の高いタイトルの投入は決まっている。またコントローラーの特徴を
分かりやすくアピールできる「Wii Sports」もあり、日本でのロンチ時にはそれなりの盛り上がりが
期待できるといえるだろう。
ただ、ロンチタイトルと予想されるソフトの大半は、既存の任天堂ブランドに深く依存している。
「ニンテンドーDS」の「脳トレ」がそうであったように、Wiiコントローラーを使ったまったく
新しい分野の開拓はまだこれからである。最初のコアユーザーを引き込むことは容易だろうが、
その後の伸びは、新世代にふさわしいタイトルの登場を準備できているかにかかっている。
3 :
明鏡止水φ ★:2006/05/29(月) 23:51:11 ID:???
■北米での復活阻むグラフィックの弱さと子供向けイメージ
より大きな問題は、悲願といってもいい北米市場の奪還である。日本市場以上に困難であること
は任天堂自身も認識しているであろう。「Wii」には弱点がある。他機種に比べ、グラフィック面が
一世代以上前のレベルにならざる得ないことと、5.1チャンネルサラウンドといった豪華なサウンド
面のサポートがない点である。そのため、既存の確立しているゲームジャンルでは不利な面が往々
にして生まれる。
例えばレースゲームといった分野では、グラフィックの精密度や臨場感でどうしても他のハードに
比べ見劣りがする。レースゲームでは、「Wii」の新しいコントローラーは重要ではない。また、
実際に存在している自動車を登場させるようなゲームでは、表示できるポリゴン数の少なさなどから
生まれるグラフィックの弱さは、「PS3」や「Xbox360」と比較すると、どうしても目立ってしまう
のは間違いない。
任天堂は、それに対して「Playing=Believing」(プレイすること=信じられること)というコン
セプトを打ち出した。画面の美しさは印象を形成するにすぎないが、コントローラーを使った
新しいプレー体験は他のハードでは決して真似ができないという意味が込められている。
とはいえ、北米で「Xbox360」と真っ向勝負になってしまった場合、コントローラーの面白さ
だけでユーザーを引き込むことが本当に出来るのかどうかが分からない。北米では、任天堂の
ハードは子ども向けというイメージをどうしても脱することができないでいる。アメリカ人が好む
「cool(クール)」というイメージに、任天堂の主力ゲームがどうしてもフィットしない部分がある
からだ。
任天堂自身は、常に全年齢層をターゲットにしていると主張する。E3でも、岩田聡社長は
「家庭内で誰かがゲームをしているかもしれないけれど、遊んでいない人もいる。家族の誰もが
みんなで遊べるようにバリアを破壊したい」というアピールを行った。これまでゲームをプレー
してこなかった高い年齢層の人に食い込むことをはっきりと狙っている。これは、「ニンテンドー
DS」で特に日本で成功したコンセプトだが、これが北米市場で通用するかどうかが「Wii」が普及
するうえでの重要な鍵になる。
4 :
明鏡止水φ ★:2006/05/29(月) 23:51:25 ID:???
■パッケージからサービスへ、「Wii」と「Xbox360」の共通点
「Wii」と「Xbox360」は基本的な考え方は大きく違うものの、ハードコンセプトの中に
「パッケージビジネスからの脱却」という可能性をともに埋め込んでいる。
E3での「Wii」の発表で重要だったのは「Connect 24」の提案である。「Wii」の電源を消しても
スタンバイモードに入り、最小限の電源でインターネットに接続したまま24時間動き続ける。
例えば、ゲーム内でユーザーごとの村を持ち、成長させていくゲーム「どうぶつの森」では、
電源が落ちている間に友だちがユーザーの村を訪れ、メッセージを残したり、プレゼントを残して
いったりするといった使い方の提案が行われている。
実際にどのように使われるのかはまだ不明な部分が多いシステムだが、ゲームをパッケージで
完結する「作品」と考えず、その後もユーザーの交流によってゲームの要素が変化していくことを
前提とした明白な「サービス」業への転換を意味している。これは、PCのオンラインゲームの世界
ではすでに常識となっている考え方だ。ディズニーランドやフィットネスクラブといったような
ビジネスモデルと実質的には変わらなくなってくる。
任天堂のような保守的な企業であっても、いよいよゲームをサービス業的に捉える考え方を
既存のパッケージビジネスと組み合わせながら取り込もうとしているところは、時代の変化を
感じさせる。
次世代ハード競争を見ていくうえで、最大の注意が必要なのは実はこの点である。ハードウエア
のスペック競争はある程度たどり着くところまでたどり着いてしまい、すでに終了しつつある。
そこに、まったく新しいサービス業的な転換という新しい価値観のレイヤーが登場しつつある。
5 :
明鏡止水φ ★:2006/05/29(月) 23:51:35 ID:???
マイクロソフトは「Xbox Live」でそれを実現し、「Wii」は「Connect 24」で完全な独自路線で
インターネットを取り込もうとしている。「PS3」は「Xbox Live」を追いかけるコンセプトから
まだ抜け出せていないため、急速なキャッチアップが求められる状況にある。
ゲームが「作品」であった時代から、日々変化していくことが前提の「サービス」への転換。
ゲームタイトルの作り方も、過去の世代のゲーム機とは大きく違う新しい潮流が3社の競争のなか
から生まれようとしている。