【家電】2極化が映す白物家電の変貌 オゾン洗濯機や炭素材炊飯器の一方、激安品も人気 [06/05/17]

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2明鏡止水φ ★
■価格差15倍は当たり前

 掃除機はここ数年、吸い込んだゴミを遠心力で分離してからフィルターに通す「サイクロン式」
が主流となりつつある。サイクロン式が登場した当初、この技術の先駆けである英ダイソン製品が
席巻していた。だが最近は国内メーカーが巻き返している。

 例えば都内のある量販店では、東芝が昨年11月に発売した「タイフーンロボ」(同7万円前後)が
売り上げ上位に食い込んでいる。サイクロン式は紙パックが不要な一方で、ゴミを分離する
フィルターの掃除に手間がかかる。タイフーンロボは、この掃除の手間を省く機能を備えている
ことが最大の売り物だ。自動的にフィルターを清掃することでフィルター掃除なしで吸引力を維持
できるという。

 一方、従来型の紙パック式の掃除機も負けてはいない。松下電器が5月に発売した最新機種
「MC-P600JX」(同7万円前後)は、チリや花粉など微細なゴミが残っている場所を検知する機能が
人気を集める。

 米を主食とする日本人にとってなじみが深い炊飯器。ここでも技術革新が続く。釜の素材1つ
見ても、炭に近い性質の炭素材を利用した三菱電機の「本炭窯」(同10万円前後)、ダイヤモンドを
使用した松下電器の「SR-SSAシリーズ」(同7万〜8万円)など、各社は独自開発の釜による炊き
上がりの良さを売り物にする。炊飯のメニューの多様さを売り物にする製品も多く、白米は
もちろん玄米、おかゆ、炊き込み、おこわ、パエリアなど10種類以上のメニューに対応する
製品もある。

 このように最新機能を備えても、ライバルが別の機能で対抗するため、気が抜けない。それでも
市場が広がるので競争は止まらない。
3明鏡止水φ ★:2006/05/18(木) 23:55:45 ID:???
 電子レンジやオーブンレンジの売り場を見ても、水蒸気で温める最新機能を業界で初めて採用
したシャープの「ヘルシオ」(同8万〜9万円)が人気。レンジ売り場の中では一番高額な製品だが、
「1カ月に120台という高価格のレンジにしては驚異的な売り上げを記録した」(ある量販店の店員)。

 レンジの売り場には、6000円前後の中国メーカー製の電子レンジも並べる店は多い。掃除機や
炊飯器も含めて高級品と激安品との価格差は実に15倍にも及ぶ。

 見逃せないのは、高級モデルだけでなく、中国製電子レンジのような低価格製品も売れている
こと。ある量販店では、洗濯機で一番数が売れているのは3万〜6万円の従来型(洗濯槽が縦型の
洗濯機)という。そうした低価格品は、今も学生や独身男性などを中心に多くの数が出る。炊飯器を
見ても実売価格6000〜8000円のシンプルな機能の製品の人気は根強い。激安白物は、家電量販店だけ
でなくディスカウント店でも売れており“場外乱闘”も進む。白物家電は完全に2極化が進む。


■「10年使えば割安」で購入

 デフレ下で激安商品が好まれる近年、なぜ白物家電の市場では高級機が売れるようになったのか。

 この背景には、贅沢品を買っているようで実はコスト意識に敏感な消費者の姿がある。価格だけ
でなく、長く使った場合の費用である「ライフサイクルコスト」に対する意識は高い。買い替えの
サイクルが長い洗濯機やエアコンなどの場合、特にこの傾向が強い。「10年使い続ければ割安になる」
といった考え方である。
4明鏡止水φ ★:2006/05/18(木) 23:55:59 ID:???
 例えば洗濯機の場合、ドラム型洗濯乾燥機は低消費電力や水の使用量の少なさを売り物としている。
量販店ではこうした省エネ、省資源の結果を金額に換算して売り文句にする。実際に「ランニング
コストの違いを説明すると、多くの客は高級機に気持ちが傾く」(量販店の店員)という。

 エアコンも同様だ。フィルターの自動清掃機能を備える最高級モデルにすると「業者に頼めば
1回1万円以上はかかるエアコンのクリーニングが要らなくなるし、消費電力も2000年頃の機種に
比べて3割以上は低くなる。10年使うことを考えると、(高級モデルは)高くない」(エアコン売り場
の店員)。

 さらに家電に対する法律や環境問題も後押しする。

 2001年に施行された家電リサイクル法によって、大型家電を処分する時に地方自治体に料金を
払わなければいけなくなった。さらに今年の4月に実運用が始まった電気用品安全法(PSE法)により、
古い家電を中古業者に売ることも難しくなった。相次ぐ法改正を受けて「その時点で一番高性能な
製品を購入して、長く使おうとする客が増えている」(量販店の店員)という。

 白物家電は少し前まで、電機メーカーにとって他社との差別化が難しい“枯れた”商品だった。
開発競争が到達点に達して、価格競争に陥っていた。ところが、ここ1〜2年の間にこうした状況は
一変。高機能競争で製品の平均価格が底上げされている。

 例えば松下電器は、2005年度の業績では白物家電が主力となる「アプライアンス」部門が営業利益
772億円を稼ぎ出しており、全社利益の16%を占める。売上高営業利益率は6.2%と全事業部門の
中で一番高い数字だ。東芝でも赤字だった家電部門が黒字に転換した。高級化する白物家電は、
価格下落の底が見えないデジタル家電よりも“手堅い”事業に変貌する可能性を秘めている。

 日経ビジネス2006年5月15日号10ページより