九州・沖縄の小売り・外食上場企業14社の2005年度決算(05年12月期―06年2月期)が
25日、出そろった。冬物衣料や高級ブランド品が売れるなど個人消費に回復の兆しも
あり、経常増益は前年度の5社から9社に拡大。ただ価格やサービスでの競争は
依然激しく、同業でも明暗が分かれている。
05年度から連結決算に移行したサンクスジャパンは単体では増収増益で、これを
含め増収は10社、経常増益は9社となる。増益の会社数は、近年では2002年度(10社)に
次ぐ水準。
ただ、同業種でも競争力の差が表れた。百貨店業界は昨年3月の福岡県西方沖地震が
大きな減収要因になったが、岩田屋は厳冬による冬物衣料特需などを追い風に増収増益を
達成。一方で井筒屋は「交通アクセスで劣り、寒すぎて来客数が減った」と減収減益に
なった。
スーパーでは店舗数を着実に上積みしたイオン九州とサンエーが増収増益。丸和は
三つの不採算店を閉鎖したほか、衣料品などの値下げ処分や人員削減に踏みきり
大幅な赤字決算となった。
専門店ではベスト電器が5.4倍の経常増益を達成したが、「行き過ぎたポイント販促を
やめた」(有薗憲一社長)ことなど販管費の削減が主要因。薄型テレビの安売り
合戦もあり期初予想には届いていない。フタタも「スーツの単価が4%下がった」といい、
依然として価格競争は厳しい。
外食は4社とも増収だったものの、BSE(牛海綿状脳症)などで材料の調達コストが
上昇。ロイヤルホールディングスとジョイフルは二ケタの減益だった。
福岡・天神の百貨店では時計や宝飾品など高額消費が好調だが、生活に身近な
業態では「景況感は上向いているものの、生活実感には直結していない面もある」
(ロイヤルホールディングス)との声が強い。九州経済産業局は個人消費について
「低調ながら持ち直しの動きが続いている」としており、本格回復に至るかが
注目される。
日本経済新聞・九州版
http://www.nikkei.co.jp/kyushu/news/arc1572.html