国土交通省発注の水門工事を巡る官製談合事件で、石川島播磨重工業など業界側の
幹事社3社が99年以降、談合廃止の方針を決めて国交省の発注担当者に伝えた際、
談合の継続を強く求められたため断念したことが、関係者の話で分かった。入札に便宜を
図る見返りに、多数の国交省OBを業界に天下りさせる談合システムの維持が目的だった
とされる。公正な入札を行う立場の発注者側が、自らのメリットのために、談合をやめよう
とする業者を翻意させるという異常な実態が浮かび上がった。
立ち入り検査を受けた三十数社の営業担当幹部の一部は、公正取引委員会の事情聴取
に談合の事実を認め、幹事社を通じて落札予定社を指名するなど、国交省側の関与につ
いても供述を始めたとみられる。公取委は独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で国交
省OBから聴取するなど、全容解明を進めている。
関係者によると、国交省は00年度の発注工事から水門設備の発注単価を見直し、予定
価格(上限価格)を大幅に引き下げることを決めた。また99年には、公取委の刑事告発を
受けた検察当局が「水道管ヤミカルテル事件」を摘発。在宅起訴が普通だった独禁法違反
事件では初めて、容疑者の逮捕に踏み切った。
このため、3社の営業担当幹部は「工事のうまみが減る一方で、談合監視の目が強まって
いる」などとして、数回にわたって受注調整の廃止方針を確認したという。
ところが、こうした業界の動きを知らされた国交省側は「談合を継続してほしい」と要請。
公取委の立ち入り検査を受けたメーカー幹部は、取材に対し「業界は出先の課長級の職
員を中心に多数の国交省OBを受け入れており、国交省は談合の廃止によって、天下り
システムが崩壊することを恐れていた」と証言した。
水門工事を巡っては、国交省のほか、農林水産省、独立行政法人「水資源機構」などの
発注分でも、談合が行われたことが判明している。
国交省公共工事契約指導室の話 (談合の継続を要請したという)事実は承知しておら
ずコメントできない。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060412-00000006-mai-soci 依頼204