富士通は4月7日、日本経済新聞社が運営するニュースサイトにおいて、
ビジネスグリッドコンピューティングの実証実験に成功したと発表した。実験では、
繁忙度や業務優先度に応じたサーバのリソースの有効活用の度合いや、大規模
災害時の業務継続性を実証したという。
実験は、経済産業省が2003年度から3年間実施したビジネスコンピューティング
プロジェクトの一環として行ったもの。実際には、2005年8月から12月にかけて、
日経新聞のニュースサイトの疑似環境を作成して実験が行われた。実験は、
IAサーバやUNIXサーバなどのプラットフォーム、Webサーバや
アプリケーションサーバなどのミドルウェアがマルチベンダで混在する環境を、
日経新聞のデータセンタと富士通のデータセンタに分散して構築。それらを
ビジネスグリッドミドルウェアで連携させた。
そして、社会的に大きく注目されるような事件発生によって、急激にマシンの負荷が
増大した際にサイト内とサイト間の負荷を分散する実験や、首都圏における大規模
災害発生時のニュース配信業務継続実験について、ビジネスグリッドミドルウェアの
実用性を検証した。その結果、高負荷や災害時に、優先度の低い業務から優先度の
高い業務へ変更する作業を自動化することで、所要時間を190分から35分に
短縮できた。また、リソース拡張時の人手作業による人為ミスを削減したほか、災害時の
業務継続に必要なバックアップシステムを自動的に立ち上げることによって待機サーバが
不要になるなどの効果が確認できたとした。
今後、富士通は、同社のIT基盤「TRIOLE」を支える中核技術としてグリッドコンピューティングを
位置付け、ビジネスシーンへの適用を積極的に進めていく。具体的には、グリッドミドルウェア
製品群の提供や、グリッド技術を利用したオンデマンドサービスを推進する。また、大学や
企業との連携による多様なマシン環境におけるグリッドコンピューティング技術の検証や、
グリッドコンピューティング技術の標準化やオープン化にも積極的に取り組んでいくとした。
http://www.atmarkit.co.jp/news/200604/08/fujitsu.html 富士通プレスリリース
http://pr.fujitsu.com/jp/news/2006/04/7-1.html