丸紅は、昨年十二月に買収したドイツの水道事業会社、ベルリンヴァッサー
インターナショナル(BWI)を通じて中国の水道事業の市場開拓に乗り出す。
今夏をめどに上海に駐在員事務所を開設し、経済成長が続く上海周辺の
上下水道施設の受注を目指す。すでに仏スエズ、仏ヴェオリア、独シーメンス
など欧米勢も中国に進出しているが、BWIの価格競争力と丸紅が持つ
プロジェクト金融機能や地方政府とのネットワークを武器に攻勢をかける。
中国のように水不足が課題の地域では高分子膜を使って排水や海水
の濾過(ろか)を行う新技術が注目されており、BWIは、高分子膜技術を
持つ繊維メーカーとの提携を模索する一方で、自社で高分子膜の技術者
採用も進める。
中国では経済成長を背景に北部の水不足が深刻化しているほか、
上下水道の整備が急務になっている。今年からの「新五カ年」でエネルギー
効率や環境を重視した循環型経済を打ち出したが、建設省の仇保興次官は、
六百都市のうち、二百三十都市の汚水処理が未整備だと危機感を表明した。
BWIは、ベルリン市の水道事業を運営する水道会社で世界規模でみると
中堅企業だが、中国では江西省南昌市の下水処理場や安徽省合肥市の
下水処理場事業の運営で実績を持つ。丸紅は仏ヴェオリアと合弁で
一九九九年から四川省成都市で水道事業運営を行っているが、技術
パートナーと組まないと単独で新規の水道事業を受注するのは難しいと
判断し、昨年十二月に約六十億円でBWIの発行済み株式80%を取得
することで合意し、四月末に手続きが完了する。
丸紅は昨年八月に日本国内でも水道事業関連の合弁会社を設立する
など水道事業を強化している。水処理施設の建設、維持管理から水の
使用量の検針や料金徴収までの総合サービスを目指しており、これらの
ノウハウを活用して中国や中東での海外事業を強化する。BWIの純利益
を現在の三億−五億円(〇五年)から三年後をめどに約二十億円に拡大
する計画。
ソース(FujiSankei Business-i)
http://www.business-i.jp/news/china-page/news/200603180008a.nwc