スイスの医薬品大手ロシュは、世界的な大流行が懸念される鳥インフル
エンザの治療薬として期待される「タミフル」の生産量を年内に、現行計画
の年産三十億カプセルから同四十億カプセルに引き上げると発表した。
「H5N1」型の鳥インフルエンザウイルスに対応する治療薬で、追加計画分
は主に他の製薬会社への生産委託でまかなう方針だ。
ロシュはすでにタミフルの生産ライセンスを十五の製薬会社に供与して
いる。タミフルは一日二回で五日分となる十カプセルが一人分の必要量
となる。各国がタミフルの備蓄を開始しており、ロシュ一社の供給では
世界的な需要をまかなえない状況。備蓄の場合、有効期限は五年間と
いう。
ロシュは、世界保健機関(WHO)に対し計五千万カプセルを緊急用の
備蓄として提供する方針を示しており、来月にも三千万カプセル、年末
までにさらに二千万カプセルを供給する計画だ。
H5N1が原因で死亡したとされる人数はすでに百人を超えており、被害
は今後さらに拡大する恐れがある。H5N1は鳥から人に感染するケース
しか報告されていないが、WHOでは、ウイルスが突然変異を起こし人から
人に感染するウイルスに変化する可能性があると指摘。突然変異が起きた
場合は、一億人以上が死亡する危険性があると警告している。
ソース(FujiSankei Business-i)
http://www.business-i.jp/news/world-page/news/200603180009a.nwc