>>135 面白いから全文引用
NEC金杉明信社長「ウリ」の嗅覚
業界が舌を巻く
NECを率いる金杉明信社長は大物経営者かもしれない。「ウリ」のタイミングが見事なのだ。
8月25日、NECは製造装置子会社であるアネルバ、NECマシナリーの2社をキヤノンへ売却することを発表した。
記者会見での質問は買う側のキヤノンの御手洗冨士夫社長に集中。
売る側の金杉社長はカゲが薄かったが、金杉社長の「売却力」はもっと評価されてもいい。
NECはNECマシナリーの売却で51億円を手にする。未上場会社であるアネルバの売却金額は公表されていないが、
およそ100億円がNECの懐に入ると推定されている。財務体質改善を進めるNECにとって少なくないキャッシュインだ。
NECマシナリーは、日本電産トーソク、新川といったライバルと競い合う半導体パッケージング装置の大手メーカーだが、
シリコンサイクルに翻弄(ほんろう)され業績は不安定。今期も減収減益だ。
真空装置のアネルバも、最大手企業であるアルバックに押され、存在感は薄れていく一方。リストラによってなんとか黒字経営を維持している状態だった。
そんな会社を金杉社長はうまく売り抜けた。なにしろ売った相手は1兆円にも及ぶ余剰資金を持つ金持ちキヤノンだ。
「キヤノンは、来年量産をスタートする新方式の薄型テレビ、SEDテレビの成否に、今後の成長がかかっている。御手洗社長は、土台づくりに必死で多少のボロ会社でも欲しいんです」(証券アナリスト)
NECにしてみれば、ズバリのタイミングで売ったと言えよう。
金杉社長の売却センスが光ったのは今回だけではない。昨年初めにはPDP(プラズマディスプレーパネル)事業をパイオニアに400億円で売却。
しかし、その直後から松下電器産業が増産投資に踏み出し、そのあおりでパイオニアのPDP事業は赤字に転落。散々な目に遭っている。
「売り抜けたわけではないよ。でも、パイオニアには申し訳ないと思っているから、周りの人にはテレビを買うならパイオニアがいいと勧めるようにしている」と金杉社長は余裕のコメントだ。
中核事業のひとつ、携帯電話事業はズタズタだが「一芸に秀でた社長」なのかもしれない。【大沼匠】