ホンダが全額出資する研究開発子会社のホンダ・リサーチ・インスティチュート・ジャパン
(HRI−JP、埼玉県和光市)は八日、名古屋大と共同でイネの培養特性を飛躍的に向上
させる遺伝子を世界で初めて発見したと発表した。
この遺伝子を交配によって培養が容易なイネの遺伝子と入れ替えることで、培養しやす
い「コシヒカリ」の開発にも成功した。これまで自然交配で二十年以上かかっていた国内で
人気の高いコメの品種「コシヒカリ」の新品種開発が三−五年程度に短縮できる。
植物には葉や茎などの組織の一部から完全な植物体を再生する能力が備わっている。
この能力を応用して組織培養で品種改良が行われているが、コシヒカリなど日本の優良
イネ品種は培養特性が劣るため、この方法ではこれまで品種改良できなかった。
HRI−JPが発見したのは、イネの窒素の代謝過程で働く「PSR1」という遺伝子。「コシヒ
カリ」の「PSR1」を、培養が容易であるインディカ種のイネの遺伝子と交配で入れ替えて
培養が容易な「コシヒカリ」を開発した。
HRI−JPは、この培養が容易なコシヒカリを用いて、収穫量の多いコシヒカリなど新品
種開発に今回の発見を活用する。
この技術は、他の穀物にも応用できる。特許は出願済み。研究成果は、アメリカ科学ア
カデミーが刊行しているPNAS誌のオンライン版と十六日に発行される同誌に掲載される。
■ソース
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200508090013a.nwc