>>522 ネット配信という新しい流通手段の広がりとともに、レコード会社、アーティスト、その所属事務所など
業界関係者の力関係は大きく揺れ動き始めた。
米国では通常、原盤権をレコード会社がすべて握っている。日本の場合はレコード会社、アーティスト、
その所属事務所などが楽曲によって色々な比率で原盤権を保有している。
アーティストもレコード会社も、過去の契約ではネット配信の存在を前提としていなかった。このため、
配信を許諾する権利がどちらにあるのか、また配信した場合の権利者間の利益配分率をどうするか、
などを巡ってもめるケースが増えている。ネットはCDよりも生産・流通コストが安いことからアーティスト
側はCDより大きい利益配分を求めているのだ。
iTMSでの音楽配信に乗り出したレコード会社も解決策を探る。コロムビアミュージックエンタテインメント
は7月、自ら芸能プロダクションを設立した。広瀬禎彦社長は「歌手や作詞・作曲家など音楽関連のタレ
ントを育成する。楽曲だけでなく肖像権などを統合的に管理、ネットを使った音楽サービスを優位に進
める」と狙いを説明する。
利益分配を巡る一定のルールが定着しなければ、人気があるのに配信では買えない国内アーティスト
が残る可能性がある。「邦楽がバスに乗り遅れる形になり、洋楽の国内音楽市場でのシェアが再び高
まる事態もあり得る」(広瀬社長)との懸念も出ている。