知的財産の重要性が叫ばれるなか、その価値について80%近くの企業が把握しているものの、中身は
「特許の維持管理費用」にとどまる企業が多いことが日本政策投資銀行(政投銀、東京都千代田区)の
調査で分かった。
知的財産で把握している内容について、「ライセンス収入」や、知的財産を生み出すためのコストである
「累積総費用」をあげた企業は30%前後にとどまっており、政投銀では「知的財産の管理手法に改善の
余地が大きい」と指摘している。
中核技術では「特許による囲い込み」を行っている企業が69%に達し、次いで多いのが「ライセンス収入の
拡大」で23%だった。非中核技術については「権利防衛など将来のために保持」が51%を占めた。
また、研究開発の効率性を定量的に測る指標を持っている企業は42%にすぎず、58%の企業が
「定量的には把握していない」と回答した。
定量的な指標で効率性を測っている企業のうち、最も多い指標は「利益と研究開発費の関係」で全体の
30%にあたる企業が採用。「特許などの件数と研究開発費」や「(新製品売上高や実用化件数などの)
その他の定量的指標」が続いており、80%弱の企業が利益と研究開発費に関する指標を取り入れている
ことになる。「ロイヤルティー収入と研究開発費の関係」は全体の1%にすぎなかった。
日本企業はバブル崩壊後の収益悪化局面から脱却するため、設備・債務・雇用の三つの過剰克服に注力。
研究開発についても、投資に対する成果が厳しく問われるようになった。
一方で、市場ニーズの多様化や世界規模での競争激化などから、研究開発の重要性は一段と高まっている。
このため、政投銀では「持続的な成長のためにも、適正な指標を開発し、研究開発の効率性を測ることが重要」
と指摘している。
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/art-20050202220610-HLKYVFJKFB.nwc