幕末の美人画に米国産の青、ジョン万次郎から入手?
http://www.yomiuri.co.jp/culture/news/20040613i401.htmタソ 幕末の土佐の絵師で、坂本竜馬にも影響を与えたとされる
河田小龍(1824―98)の作品「納涼美人図」(1854年)に、
米国製とみられる人工青色顔料「ウルトラマリンブルー」が
使用されていたとの研究成果が、12日、奈良市で開催中の文化財
保存修復学会で発表された。
絵が描かれた当時、日本はまだ開国前だったことから、発表した
東京文化財研究所の朽津信明・主任研究官(鉱物学)は「小龍は
米国から帰国した漂流民、ジョン万次郎(1827?―98)の
取り調べに加わっており、彼から入手したのではないか」と推論
している。
使われていたのは、「美人図」の帯の青色部分。分光光度計で
波形を測定したところ、ウルトラマリンブルーとほぼ一致した。
「美人図」以降の小龍の作品約10点についても同じ結果が出た。
「美人図」の制作年は、江戸幕府が米国などと修好通商条約を結ぶ
4年前。ウルトラマリンブルーは、微量の赤を含んだ鮮やかな
青色が特徴。1840年代以降、米国で大流行した。
小龍は万次郎の取り調べ後、地図や絵なども含めた記録「漂巽紀略
(ひょうそんきりゃく)」を著す一方、坂本竜馬に航海や貿易の
概念などを教え、西洋文明に目を開かせたという。
(2004/6/13/03:01 読売新聞 無断転載禁止)