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卸売業者を対象にした県の調査によると、県内の医療機関が今冬仕入れた
ワクチンの総数は26万3957本(1ミリリットル換算)だった。このうち247本が
使われないまま、今月13日までに返品されていた。
247本のワクチンは、1歳以上5歳未満の幼児なら617人に接種できる量にあたるという。
厚生労働省は今シーズン、インフルエンザワクチンの接種を例年以上に奨励した。
新型肺炎SARSとインフルエンザの初期症状がよく似ているため、
インフルエンザにかかる危険性を少なくすることで、SARSとの混同による混乱を減らそう、と考えた。
こうした狙いやワクチン不足の報道を受けて接種希望者も増え、ワクチンは
全国的に品薄状態になった。
県は医療機関からの情報をもとに地域別の在庫状況をホームページ上で公表。
そこでも相双地域を除く全地域で在庫ゼロの日が続き、接種したくても
できなかった人も多いとみられる。それだけに県薬務グループは
「返品数はゼロに近いのではないかと思っていた」という。
返品されたワクチンはどこに眠っていたのか。
県は「卸売業者などに確認しないと何とも言えない」とし、
医療機関が抱え込んでいた可能性も含め調べる予定だ。
県によると、ワクチンの在庫があると公表した医療機関の一部には
電話などによる問い合わせが殺到したため、医療機関側から
「ホームページから名前を外してほしい」という要望があり、応じたこともあったという。
ホームページに医療機関名が出れば「飛び込み」の接種希望者が増えることが
予想された。それによって、「常連」患者のニーズに応えられなくなるのを避け、
在庫があるのに「ない」としていた医療機関もあったのではないか、と県はみている。