血栓溶かすミミズ酵素、ワキ製薬が年内にも中国で発売
(日本工業新聞 2004/1/30)
http://www.jij.co.jp/news/product/art-20040129193514-SYHGBNNPIA.nwcタソ ミミズが持つ血栓溶解酵素を利用した健康補助食品を商品化し、注目を
集めている医薬品メーカーがある。ワキ製薬(奈良県大和高田市)。
宮崎県内での量産が本格化しているほか、中国での製造販売も計画して
おり、年内にも実施できる見通しだ。脇本社長は「3年後に売上高を2.5
倍の10億円にする」と意気込んでいる。
血管が傷つくとフィブリンという凝固物質が生じ、血栓を作って止血する。
傷が治り、血栓が不要になると酵素の作用で血栓が除去される。この働きが
鈍ると、心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞を発症するという。
血栓を溶かす医薬品としては「ウロキナーゼ」が一般的に使われているが、
宮崎医科大学の美原恒名誉教授が赤ミミズに含まれる酵素「ルンブロキナー
ゼ」に血栓を溶かす働きのあることを突き止め、1983年に国際止血学会で
発表した。
脇本社長が、ミミズの効用に注目したのもちょうどそのころ。同社の解熱・
感冒薬にミミズの外皮を成分のひとつに使用していたこともあり、以前から
ミミズに興味を持っていた。たまたま知人のつてで美原名誉教授らと知り合
い意気投合、健康食品への利用を始めたという。
ルンブロキナーゼを含む主成分「ルンブルクスルベルス」を使った同社の
健康食品は「龍心」。99年から売り出したが口コミで徐々に需要が増えた。
ただ、成分はミミズ1匹からマイクロ(1マイクロは100万分の1)グラム
単位しか取れないため、効率的なミミズの養殖や工場ラインでの生産体制が
必要になる。
そこで宮崎県田野町に昨年1月、ルンブルクスルベルスの乾燥粉末を大量に
精製できる新鋭工場を完成、本格量産に乗り出したという。
中国だけでなく、「米国からの問い合わせも殺到している」(脇本社長)
ことから、年内にも両国への輸出も始める計画を立てており、“ミミズパワ
ー”の海外普及に弾みをつける考えだ。