【大学病院ブヂネス】札幌医大、院生に賃金支払い検討 脱「名義貸し」のため

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札幌医大、院生に賃金支払い検討 脱「名義貸し」のため
http://www.asahi.com/national/update/0121/008.htmlタソ
医師の「名義貸し」の背景に大学院生や研究生の「生活苦」がある
として、北海道立札幌医大は大学院生らを付属病院の臨時職員とし
て採用し、賃金を支払う検討を始めた。付属病院では、人手不足を
補うため、医師免許を持つ院生らが診療を支えているのが実態だ
が、病院職員ではないため無給だ。同医大は、これが名義料が得ら
れる「名義貸し」の土壌になっていたとみており、来年度、150
人程度を採用したいとしている。

同医大の調査では、97年から5年半の間に名義貸しをしていた医
師は124人。このうち院生は半数以上の66人で、研究生は36
人。残る22人は教員だが、名義貸しの時期は院生か研究生時代
だった。大学側の聴取に対し、多くが「生活支援として名義料など
を提供された」と答えたという。

医科系大学では、医学部卒業後に医師免許を取得し、4〜5年研修
医をした後、大半が博士号を取るため大学院に入る。本来、専門
テーマの研究が目的だが、人手の少ない医局の診療科では、院生ら
が「臨床研究」の名目で無給で診療に当たることが多い。土日に市
内の病院で当直などのアルバイトをしても、特に既婚者にとっては
収入が少なく、「名義料」で生活を支える実態があったという。

札幌医大は、月額17〜20万円の賃金と社会保険料などの共済費
を支給する方向で検討しており、単年度の予算は約3億4000万
円程度になる。

同医大病院課は「院生らに賃金を支払うのは異例かも知れないが、
名義貸しを反省し、厳しい財政下でも付属病院スタッフとして働い
ている実態を評価しようという試み」と説明する。教授の1人は
「院生の無給労働は、30年以上も変わらない慣習で改善は悲願
だった」と話す。

院生らへの賃金支給は福島県立医大が96年から始めているが、文
部科学省によると国立大学はすべて「無償労働」が続いている。名
義貸しが問題になった他の大学でも同様の構造が指摘されており、
札幌医大の試みが注目されそうだ。
(01/21 05:49)