産総研が泡でウイルス退治、コイヘルペスにも応用可
(日本工業新聞 2004/1/9)
http://www.jij.co.jp/news/bio/art-20040108184054-JADUQPTPXG.nwcタソ 産業技術総合研究所環境管理研究部門(部門長・指宿尭嗣氏)は8
日、冬季における食中毒の主要原因であるノロウイルス(小型球形
ウイルス)を、低濃度のオゾンを含有したマイクロバブル(超微小
気泡)で不活性化することに成功した、と発表した。循環型浴槽の
レジオネラ菌やコイヘルペスウイルス(KHV)問題などへの対応
も可能だという。
ノロウイルスは十分な加熱処理で不活化できるが、生ガキなどの生
鮮貝類に含まれていることがあり、嘔吐、下痢などの急性胃腸炎症
状を発症する。カキなどの養殖では、無菌海水中での蓄養や塩素系
殺菌剤の利用がなされているが、無菌畜養はコストが高くなり、塩
素処理では風味を損ねるという問題があった。
産総研の環境管理研究部門では、上昇速度が遅く広大な比表面積を
持つマイクロバブル(超微小気泡)を産業応用する研究を進めてい
る。マイクロバブルは、直径が50マイクロ(1マイクロは100万分の
1)メートル以下の泡で、通常の泡と違って水中で溶解しながら縮小
し、最終的に消滅してしまう。また、帯電や、内部が高圧状態にな
るという特殊な作用もある。
今回、海水を満たした円筒容器に含まれたノロウイルスが、約1時間
のマイクロバブル処理で不活性化することを確認した。その詳細メ
カニズムは不明だが、帯電したマイクロバブルにウイルスが引き寄
せられ、バブルが縮小することによって内部のオゾンが高濃度化し
てウイルスを効果的に破壊したと仮定できるという。