9・11アメリカ中枢同時多発テロ一周年を記念して、訪朝前に訪米した小泉は、
自分の方から、不良債権処理の加速化を切り出し、ブッシュの歓心を買ったと言う。
確かにこの小泉の提案は、アメリカが、何よりも喜ぶ提案ではあったろう。
ではこの加速化とは、どういうことなのか。ある企業の不良債権を回収するのに
際して、いままではその企業の対す力の回復を待つなどの配慮をしてきたのだが、
今後はしないことにしたと言うことだ。こうなれば結果は見えている。その企業は
倒産して、その企業と取引もある関連企業の影響も多大なものとなる。その中には
倒産に追い込まれるものも出て来ることになるだろう。不況は今より一層深刻な
ものに転化し、企業の資産価値は一層低迷することになり、アメリカの企業買収は、
一段と進みやすくなる。こうして金融機関だけでなく、製造業においても、
アメリカの企業買収は進み、日本の政治的な属国化は、経済的なものへと一段と
進むことになるのである。
現実に、新生銀行のこの間のやり方が、この推理の正しさを証明している。
破綻した長銀は、周知のように、ハゲタカファンドとあだ名されるリップルウッド
に買収された。今回更迭された柳沢は、金融再生委員会委員長の時、長銀に五兆円
を投じるとともに長銀再建のアドバイザーとしてゴールドマンサックス証券を指名
して、なんと57億円も支払った。その結果、長銀は、リップルウッドにたったの
十億円で売り払われてしまった。それも国民にもまったく内緒にした瑕疵担保条項
の持参金までつけたのである。
この条項の有効期限は、2003年3月までである。したがって新生銀行は周囲
を驚かすようなあこぎな債権の取り立てを開始・続行しているのであり、そのため
に無理矢理に倒産させられた企業が続出している。今や新生銀行は銀行界の嫌われ
者の筆頭であるが、竹中・木村は、公的資金を投入するという美名の下で、すべて
の銀行に、貸しはがしを強制させることで、新生銀行のまねをさせようと画策して
いるのである。
http://www.workers-2001.org/topx021015.htm