日立製作所は10月22日、「EA(エンタープライズ・アーキテクチャ)」に基づくシステム設計・
構築を支援する組織を設立した。官公庁や自治体向けビジネスを手掛ける公共システム
事業部内に置いた「EAコンサルテーションセンタ」である。富士通やNTTデータなどの大手
インテグレータもEAに力を入れているが、専門組織を設けるのは日立が初めて。
EAコンサルテーションセンタは当初、50人体制でスタートする。公共システム事業部のSEに
加えて、社内のコンサルタント、プロジェクト・マネジャなどを配属する。事業部内のEA関連の
案件を遂行を支援する。EAに基づく業務・システム評価、コンサルティング、システム提案・
構築サービスなどを提供する。センタ長には、前プロジェクトマネジメント本部公共・社会
プロジェクトマネジメントエンジニアリング部長の南野 猛氏が就いた。
EAコンサルテーションセンタは事業部内にEAを啓蒙・教育する任務も負う。日立の公共
システム事業部は「2005年度までにEAに精通した人材を1000人規模に拡充する」
(山中大三郎副事業部長)との目標を掲げている。公共事業部の成果を基に、順次他の
業種向けの事業部にもEAを浸透させていく。
併せて日立は、EAに関するサービス/方法論の体系「公共システム最適化ソリューション」を
発表した。従来から社内で利用していたサービス/方法論をEAの観点から整備した。具体的には
業務アーキテクチャ(BA)分析のための方法論「HIPLAN」、アプリケーション・アーキテクチャや
技術アーキテクチャ(TA)を策定・維持するための方法論「HIPACE」を使い、EA導入の上流から
下流を一貫して支援する。11月1日から提供を始める。
EAとは、企業・組織におけるIT投資効果を最大化するための方法論。各部門に散在している
システムを統合・連携させ、全体最適を実現する手法を体系化している。日本政府が「業務・
システム最適化計画」の名称で来年度以降、導入を決めているほか、福岡県、高知県などの
先進地方自治体でも導入が始まっている。このほか、東京三菱銀行をはじめとする民間企業でも
導入が進んでいる。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/NC/NEWS/20031022/135797/