【ワシントン=吉次弘志】米連邦準備理事会(FRB)は6日の連邦
公開市場委員会(FOMC)で、当面の政策運営方針を景気下降リスク
を重視する「景気配慮型」に変更した。生産や雇用が弱含んだと判断
する一方、物価上昇率が低水準にとどまっている現状にも触れ、デフレ
リスクに警戒感を示した。短期指標金利であるフェデラルファンド
(FF)金利の誘導目標は据え置いたが、6月の次回会合での利下げ
観測も出てきた。
同日のFOMCは定例で、イラクでの戦闘終結後では初めて。FF
金利の誘導目標は現行の年1.25%で据え置かれるとの見方が大勢を占め
ており、FRBがどんな政策運営方針を打ち出すかが注目されていた。
前回3月のFOMCはイラク戦争の影響が不透明だとして運営方針を
明示しない異例の「判断留保」の措置を取っていた。
3月以前の「中立型」よりも踏み込んで「景気配慮型」にしたのは、
昨年11月に0.5%の利下げ実施時に中立型に変更して以来。FOMC後
の声明は原油価格の下落や消費者心理の改善、株価上昇などを好材料と
しながらも、立ち上がりが遅れる企業の設備投資や雇用情勢の悪化を
警戒する姿勢を前面に出し、注視する考えを示した。鉱工業生産や
設備稼働率が低迷を続けていることや4月に6%になった失業率が懸念
材料になっているとみられる。
(日経、吉次弘志氏署名記事)
http://www.nikkei.co.jp/kaigai/us/20030507d2m0700s07.html Press Release(FRB)
http://www.federalreserve.gov/boarddocs/press/monetary/2003/20030506/default.htm