〜海外事業の保証で〜
農林中央金庫や政府系の国際協力銀行が、海外事業で引っ張りだこになっている。
企業が海外でのプロジェクトで入札する際、金融機関の保証が必要になるが、
格付けが下がった4大バンクの保証では応札しにくいからだ。国際協力銀は日系
企業の資金繰りでも、8億ドル(約960億円)の緊急融資を実施。大手邦銀の
存在感は一段と低下している。
中略
企業が海外の大型事業に入札する場合、有力格付け会社から「A」以上の格付けを
得ている銀行の保証状を求められることが多い。しかし、最も利用されている米
スタンダード・アンド・プアーズの格付けで、大手邦銀は現在いずれも「A」未満。
これに対し、政府をバックとする国際協力銀は「AA−」、原則的に農林水産業と
関係ない事業に融資しない決まりとなっている農林中金は「A+」を得ている。
このため、「事業費が数百億円の大型事業は国際協力銀に、小さいものは農林中金に
持ち込まれている」(商社)という。
中略
邦銀の途上国向け融資残高(保証などを含む)はピークの97年第2四半期は約
1600億ドルあったが、直後のアジア通貨危機以降、激減。02年には約680億
ドルまで落ち込んだ。国際協力銀は額こそわずかだが、貴重な駆け込み寺になっている。
ただ、同行は政府系金融機関の見直しの一環で08年度に整理・統合される予定。
「農林中金も格付けは下がりつつあり、いつまで『A』を維持できるかわからない」
(商社財務担当者)。大手邦銀が不良債権処理にめどをつけ、格付けが上がるまでには
時間がかかるとみられており、企業の間では今後を不安視する声も出ている。
引用
http://www.asahi.com/paper/business.html