【kawasaki】ER-6n/f/Versys part19【ガチャピソ】
医療の3大要素として、Access、Quality、そしてCostが挙げられるが、これらの要素は互いにTrade off の関係にあるため、相互のバランスが大切である。
我が国では Free Accessを重視するあまり、他の2要素がTrade offされる傾向にある。その一例として、病床数の継続的な増加傾向が挙げられる。
これは日本の医療が発展途上にあることを示唆する現象で、我が病院にも見られるものである。またもう1つの例として、従来批判の対象となる
医師誘発需要と対照をなす患者誘発需要による過剰診療がある。例えば、引きこもり防止と称した屋外運動のため、サロン的用途目的のため
定期的な診断による顔見せのため、くすりの受け取りのためもしくはドック代わりの検査のためといった、(主に高齢の)患者側から生み出される
一般に意義の少ない診療需要のことである。これは医療費の垂れ流しに通じる原因の1つとなっている。このCostがTrade offされている様子を
保険給付の側面から眺めてみよう。入院医療費のGDP比についてOECD諸国と比較した場合医療の中核を成すにもかかわらず我が国のそれは一番低い値となっている。
これとは対照的に、診療所でその大半が費やされる外来医療費のGDP比は最も高い値を示している。このことからも、外来に対する受診必要率の正しい評価が必要と考えられる。
今後は成熟社会型に適応した構造を目指して特にQualityを重視した全体的バランスの修正が行われるべきであろう。私は従来の保険方式から、所得移転としての税方式への転換を提案する。そもそも保険とは何かあったときのためのものである。
税方式へのシフトは、医師も患者も望まない、もしくは必要としない乱診乱療の減少を助けるだろう。ただし、上述の通り、医療には不確実性も伴う。適正な給付のためには免責方式の採用及び厳重な取り締まりのもとでの適用が必要となるだろう。
不要な医療需要の喚起は医療赤字を呼び、その一方で、病院は個別にIT化などの必要経費を捻出しているという矛盾した現状がある。患者誘発にせよ、医師誘発にせよ、必要性の少ない需要に頼る経営から脱することがまず必要である。
一貫した公的制御による国としてのMacro Policyの変革のないまま、個々の病院内におけるMicro Policyだけに頼る現在の構造のままでは、高質医療への変換はほとんど不可能である。