【kawasaki】ER-6n/f/Versys part19【ガチャピソ】

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165認識不十分な医療問題
医療制度改革が叫ばれて久しいが、実は国民の医療問題に対する不十分な認識が問題の核となっていることは理解されていない。
国民に医療現場の実情についての正しい知識がなければ真の改革が不可能なのはもちろんだが、時には不理解が改革の動きに対する反発を招いている場合すら見受けられる。
また一方では、咀嚼不十分で政策誘導的な言葉の氾濫が、医療現場に一層の混乱を招いている。マスコミの報道も、生物テロの例をみても分かるように
感情を煽動する記事ばかりが目立ち、正確な情報の伝達はまだ不十分である。現実問題として改革を唱える以前に、まずこのような矛盾した現状を正面から見据える必要があるように思われる。
私の一般病院、大学病院などの現場における経験を踏まえてお話したい。現場の立場からすると、まずお話したいのは、例えば「構造改革なくして真の医療改善なし」といった
政策誘導的モットーに見られるように、現状を十分に顧みない言葉や経済的観念の先行である。マスコミの報道を見ていると、今日私たちが面しているのは「終末期の医療」である
といった記事が目立つ。しかし、そこにみられる病院への非難や意見は真に国民の視点によるものなのだろうか。ある時などは、病院への慇懃なお礼の手紙という稀有な記事を見つけた。
よくよく見れば、医療事故研究者によるものであった。医療の質の水準が純粋に論議に上がることは少ない。特に我が国では、ある問題がいったん持ち上がるとその一点ばかりに
意見が集中し得てしてより全体的、包括的な視点は失われがちである。例えば「カルテの開示」といったようなキーワード1つが挙げられると
しばらくはその一語のみを追いかけて右往左往する。以前、「患者や地域に開かれた病院」であるかどうかの判断を目的としたアンケートが行われたことがあったが
その結果によると我が病院の順位はかなり低かった。しかし、実際の診断や治療の結果ではなく、判断基準としてカルテの開示度や待ち時間などに重点をおく
あのアンケートの意図は何だったのか。少なくとも、それは患者が必要としている真の情報開示ではなかった。
医療にはその経済財としての特質がある。まず、その需要は受動的であること。需要を生み出す要因の除去すら望まれる。また、需要の見通しを立てることは大変困難である。