90 :
774RR:
旅先で出会った忘れえぬ人か…
忘れたくても忘れられない、いや…忘れてはいけない出来事かな。
その出来事がきっかけで、俺はバイクが嫌いになった。でも降りる事も出来ない。
乗りたくないものに乗り続けなければならない苦しみ。
そう、死ぬまでその苦痛が続くんだ。
アイツと交わした最初で最後の約束だから…
91 :
90:2006/11/14(火) 14:11:20 ID:5yDxjRCr
アイツとの思い出を少し話そうと思う。
アイツ(A)とは、小学生からの付き合いで、中・高と、同じ学校に進んだ。
俺がバイクに興味を持ち、免許を取ったのもAの影響だ。
Aとは、バイク以外でも、そう、食べ物から女の好みまで同じだった。
いつだったか、俺がひそかに想いをよせていた女の子が遠くに引越ししてしまうって時、ウジウジしていた俺を半ば強引に空港まで連れて行き、
またまた強引に告白させられた事もあったな…(Aがその女の子を好きだった事は、後から別の友人から聞いた)
とにかく、Aとは、何をやるにしてもいつも一緒だった。
92 :
90:2006/11/14(火) 14:30:05 ID:5yDxjRCr
あの日は、いつもと変わらず、Aと学校へ行き、いつもと変わらず一緒に下校した。
俺の家でゲームして、飽きたら走りに行くってのも、いつも通りだった。
ただ、いつもと違うのは、走りに行く時、俺が何となく言った
「たまにはバイク交換して走らないか?」
だった。今まで、そんな事言った事も無かったのだが…
Aも最初は?って感じだったが、すぐ「いいぜ。たまにはいいかもな」って具合で、互いのバイクを交換して走り出した。
93 :
90:2006/11/14(火) 14:45:44 ID:5yDxjRCr
Aのバイクに乗った感想は、“乗りやすい・安定感がある”だった。
そうだよな、毎日整備してたもんな…俺もちゃんと整備しなきゃな…
なんて事考えながら、走った。
Aのバイクの乗りやすさに、俺はいつもよりハイスペースだった。
一方のAは、ろくに整備されてない俺のバイクなのにも関わらず、ピッタリついてくる。
この野郎!って感じでさらに俺はアクセルを開けた。なんの変哲もないコーナーを何個かクリアーした時、ミラーにAの姿は写っていなかった。
俺は路肩にバイクを止め、Aを待った。が、来る気配がない。まさかと思いながら、俺はUターンした。
94 :
774RR:2006/11/14(火) 14:46:28 ID:e0pBiXsO
_∧_∧_∧_∧_∧_∧_∧_∧_
デケデケ | |
ドコドコ < 続きマダー !? >
☆ ドムドム |_ _ _ _ _ _ _ _ _ _|
☆ ダダダダ! ∨ ∨ ∨ ∨ ∨ ∨ ∨ ∨ ∨
ドシャーン! ヽ オラオラッ!! ♪
=≡= ☆
♪ / 〃 J('ー`)し / シャンシャン
♪ 〆 ┌\ ノ\ノヽ.∈≡∋ゞ
|| γ ⌒ヽヽコ ノ ||
|| ΣΣ .|:::|∪〓 || ♪
./|\人 _.ノノ _||_. /|\
ドチドチ!
95 :
90:2006/11/14(火) 15:17:31 ID:5yDxjRCr
やはり事故っていた。バイクは無惨な姿だったが、Aは生きていた。ただ、足が折れたようで、Aだけ救急車で運ばれて行った。
その日は色々忙しく、Aが運ばれた病院には行けなかった。
翌日、俺はAがいる病院に向かった。病室の前でAの母親が泣いている。
それを見た俺は、母親に挨拶もせず、病室に駆け込んだ。
「何だよ!ノックぐらいしろよ」Aが笑いながら言う。
俺「生きてんじゃねーかよ!お前のかあちゃん、泣いてたからさ、死んだのかと思ったよ」
その言葉を聞いて、Aから笑顔が消えた。
「生きてるよ。でも、バイクにはもう乗れないや」
なんでも、ただの骨折ではなく、足の神経が完全に駄目になったらしい。一瞬、場が暗くなったが、Aが笑いながら話した。
96 :
90:2006/11/14(火) 16:06:21 ID:5yDxjRCr
A「お前のバイク、廃車か?」
俺「あ、あぁ。まぁ、買い替え時だったからな。気にすんなよ。それより、諦めないでまたバイク乗ろうぜ」
A「ん…そーだな。とりあえず、お前のバイク、廃車にした責任として、俺のバイク乗ってくれよ。」
俺「何言ってんだよ!リハビリ頑張って、またお前が乗るんだよ!」
A「わかったよ…じゃぁ、こうしよう。俺が復帰するまで、お前が乗っていてくれ。どうせ、お前だって今すぐ買い替えは無理だろ?」
俺「まぁな。じゃあ、約束だぞ?リハビリ頑張って、また一緒に走ろう。それまで、お前のバイク、預かっておくから。」
A「わかった。じゃあ、頼んだぞ。毎日ちゃんと乗ってくれよ?洗車もするんだぞ?」
俺「わかったよ!任せとけっ」
A「毎日、見てるからな…」
俺「??お、おう。」
翌日、Aは自殺した。
リハビリすればまたバイクに乗れたかもしれないのに…
Aが寝ていたベットに、俺への手紙と、バイクの鍵が置いてあった。
手紙には、「バイク、頼んだぜ」しか書いてなかった。
あの日、俺がバイク交換しようなんて言わなければ…
調子にのってアクセル開けなければ…
どう考えても、Aが事故ったのは俺のせいだ。なのにアイツは、一言も言わなかった。俺がAの立場だったら、言っていたかもしれないのに…
97 :
90:2006/11/14(火) 16:46:30 ID:5yDxjRCr
泣きながら書いているので下手な文章で申し訳ないです…
俺は約束通り、毎日アイツのバイクに乗ってます。
ちゃんと整備してます。洗車もしてます。
事故からもう10年経ちますが、未だにバイクに乗るのが怖いです。
ミラーにライダーの姿が見えると、振り返ってしまいます。
死ぬ為にアイツのバイクに乗っている訳ではないけれど…
死ぬ時はアイツのバイクで…って本気で考えてます。
でも、未だに事故歴なし…